習近平国家主席の招待に応じ、フィリピンのドゥテルテ大統領が18-21日に訪中する。
この訪問は中国共産党第18期中央委員会第6回総会(6中全会)の直前に開かれるため、中国側の重視のほどが伺える。
中国が重視するのは、両国関係に一日も早く南中国海仲裁案というページをめくらせ、安定的発展の軌道に再び乗せようとしているからだ。また南中国海の地政学的情勢が緊張化するなか、フィリピンが厄介な国から安定的な力に変わることを必要としているからだ。
アキノ大統領が政権運営した数年間、中比関係は大きな衝撃を受けた。これは双方の対外関係に悪影響と圧力をもたらした。中国にとっては、ASEANとの地域協力の雰囲気が悪化し、「21世紀海上シルクロード」の建設に「死角」が生じた。ASEANにとっては、中国の南中国海問題について立場を一致させられず、一体化の進展でかつてない課題を迎えた。
ドゥテルテ大統領が手ぶらで帰ることはない。訪中期間、双方は一連の重要なウィンウィン・協力成果を手にする。最も注目されているのは、中国による農業発展とインフラ整備の支援という重大措置だ。ドゥテルテ大統領の初訪中で注目されているのは、両国が南中国海問題を巡り形成する合意と共通認識だ。
南中国海問題は両国関係の発展の道に長く横たわっている。過去3年間は仲裁案が大きく取り沙汰され、両国関係のほぼすべての内容になった。フィリピンは仲裁からいかなるメリットも手にしておらず、むしろ短期間内には下ろせない政治的・外交的負担を背負った。
ドゥテルテ大統領の訪中で、双方が南中国海の漁業、捜索・救助、生態保護などの海上協力で積極的な姿勢を示し、さらに具体的な協力プロジェクトを打ち出せば、南中国海の安定に資することになる。さらには中国とASEANが海上協力を深化させ、「南中国海行為準則」の協議を加速するボタンになる可能性もある。
中国の主権に関する関心事、フィリピンの国民生活に関する関心事の間で、双方の利益に配慮する中間ラインが引けないわけではない。国際海洋法の実践が積み重ねられる時代において、主権の安全の相互尊重を前提とする海洋権益の共有が、基本的な方針になっている。しかしフィリピンの一部の人は何らかの手段や理由によって、婉曲的に南中国海仲裁裁判所の違法仲裁を実施しようと幻想を抱く必要はない。
ドゥテルテ大統領の訪中について、中比関係における米国の要素、もしくは比米関係における中国の要素が注目され、冷戦のゼロサム的な推測がされることだろう。例えば中国がフィリピンを抱き込むことで、米国のアジア太平洋同盟体制を瓦解させるなどだ。これは狭隘で幼稚な発想だ。中国は東南アジアで自国のグループを構築しているが、これが自ずと誰かを排斥したことはない。フィリピンを含む東南アジア諸国に対して、中米という2大国の間で選択をするよう利益で誘い、強いたこともない。無理難題を押し付けるのは、現実的ではない。米国は中比関係の改善と発展を楽観するべきだ。地域各国が中米とともに友人になることが理想的だ。
ドゥテルテ大統領が間もなく訪中するが、これは中米の間でどちらかを選択するためではなく、中国と両国間系の新たなページをめくるためだ。ドゥテルテ大統領が述べたように、フィリピンの経済発展と国民生活の改善という問題で、中国は手を貸せるが米国はそうとは限らない。しかも中国は、フィリピンに内政干渉しない。これは政治家にとって非常に現実的な考えであり、ドゥテルテ大統領はどうすべきかを理解している。
「中国網日本語版(チャイナネット)」2016年10月13日
|