習近平国家主席の招待を受けて、フィリピンのドゥテルテ大統領が18日に北京に到着し、4日間の公式訪中を開始した。(文:蘇暁暉・中国国際問題研究院国際戦略研究所副所長。人民日報海外版コラム「望海楼」掲載)
今回の訪問は得難いものだ。アキノ前政権時、フィリピンは南中国海における中国の主権に挑戦する急先鋒となり、中国との対話を拒絶し、中国の強い反対を顧みずいわゆる南中国海仲裁裁判を提起し、さらに甚だしいことに域外勢力と結託して南中国海情勢を撹乱した。アキノ政権は南中国海問題を両国間に横たわらせ、上層部訪問を含む双方の正常な往来を妨害し、中比関係を後退させた。
ドゥテルテ大統領は就任後、対外政策の調整を始め、南中国海問題で慎重に自制し、対立ではなく交渉する方針を明確に表明した。フィリピン側は対中友好のメッセージも発した。ドゥテルテ大統領は様々な場で対中協力強化の意向を表明した。今年8月、ドゥテルテ大統領は、中国と深い縁のあるラモス元大統領を特使として派遣し、中国側と接触し、両国関係回復の準備をした。ドゥテルテ大統領の今回の公式訪中は、大統領就任後初のASEAN以外の国への訪問であり、フィリピン政府が中国を外交の重要な位置に据え、中国との友好再建を決めていることがわかる。
フィリピン側のこうした転換は、自らの発展、中国の動向さらには地域と世界の情勢に対する判断に基づくものだ。
フィリピンは中国の発展の成果に敬服している。世界経済の環境は複雑で変化に富むものだが、中国は常に勢いよい発展を実現し、総合的国力と国際的影響力を高め続け、世界の舞台の中心へと向かっている。
フィリピンは中国の発展を試練ではなくチャンスと捉えている。ドゥテルテ大統領は中国との経済・貿易関係を自国経済発展の原動力とし、中国の助力によってインフラを整備し、民生を改善し、貧富の格差を縮小することを望んでいる。フィリピン側は、中国が近年周辺外交を重視し、ASEANを周辺外交の重点とし、中国-ASEAN関係の発展を推進していることも見ている。中国は「親、誠、恵、容」の周辺外交理念を堅持し、調和ある周辺環境を築いている。たとえ領土主権争いであっても、中国は平和的解決を呼びかけている。中国を脅威と見なす理由はフィリピンにない。
フィリピンは争いの処理においてより明晰になっている。フィリピンは南中国海問題において中国の譲れぬ一線に挑戦することが効果を生まず、南中国海の緊張がフィリピンの国益にマイナスであることを認識している。したがって、フィリピンは南中国海をめぐる争いによって中比関係を再び翻弄すべきではないし、ましてや米国の地域戦略における中国牽制のお先棒を担ぐべきではない。
中国はフィリピンとの対話の扉を閉ざしたことはない。中国はフィリピンとの伝統的友好を大切にし、両国民間の友誼を固めることを望んでいる。中国とフィリピンには二国間協力を推進する能力が完全にあるし、アジアインフラ投資銀行など多国間の枠組でウィンウィンを実現することができる。ドゥテルテ大統領の就任時、中国は心から祝福し、善意を示した。フィリピン大統領の今回の訪問を中国は非常に重視し、両国間の共通認識と協力の拡大を図りたいと考えている。(編集NA)
「人民網日本語版」2016年10月19日
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