より安定に向かい、予想を上回った‐‐。国家統計国がこのほど発表した中国経済の今年第3四半期(7-9月)の各種報告をみると、需要と供給の両面がともに力を発揮し、良好な予測を導いたことが総合的に作用しあい、今年第1~3四半期(1~9月)の中国経済の運営状況は安定を保ちつつ進歩し、とりわけ8月と9月は各種データが目立って改善したことがわかる。中国経済がモデル転換・バージョンアップを遂げ、動力・エネルギーが転換する重要な時期に、こうしたデータは何を物語るのだろうか。新華社が伝えた。
▽6.7% 数字は同じでも中味が違う
同局の盛来運報道官は第1~3四半期の中国経済を評して、「全体として安定し、安定を保ちつつ進歩し、安定を保ちつつ質を向上させ、予想を上回った」と述べた。どのように安定し、どのように予想を上回ったのだろうか。データをみてみよう。
経済成長ペースをみると、第1四半期(1-3月)、第2四半期(4-6月)と同じく、第3四半期(7-9月)も国内総生産(GDP)増加率は6.7%の水準を維持した。国内経済が大きな下ぶれ圧力に直面する中、これだけの「成績」を上げるのは容易ではなかったといえる。
事実、このデータは中国経済の動きに対する国際機関の判断とほぼ一致する。国際通貨基金(IMF)がこのほど発表した「世界経済見通し」では、今年の中国経済の成長率予測値を6.6%で据え置いた。アジア開発銀行(ADB)が9月末に発表した報告では、今年と来年の中国経済の成長率予測値を引き上げ調整し、中国経済への信頼感を示した。
中国人民大学国家発展・戦略研究院の劉元春執行院長は、「製造業購買担当者指数(PMI)、発電量、対外貿易輸出先導指数など一連の先行指標には、最近相次いで積極的な変化が現れた。第3四半期の経済運営は安定し、増加ペースは市場の予想を上回るとみられる」と指摘する
雇用と物価も「安定傾向」を助長することになった。第1~3四半期に都市部で新たに1067万人が就職し、1四半期前倒しして通年の目標を達成した。31の大都市では都市部失業率が2013年6月以降で初めて5%を割った。同期は物価の上昇傾向も全体として落ち着きをみせた。第1~3四半期の消費者物価指数(CPI)は2.0%上昇で、上半期に比べて0.1ポイント低下した。
3四半期連続で6.7%の成長率を達成した背後には、経済成長の質と効果の持続的な向上、エネルギー構造、産業構造、需給構造の持続的な改善がある。
統計をみると、第1~3四半期には、第三次産業の生産額がGDPに占める割合は52.8%となり、前年同期比1.6ポイント上昇した。同期の最終消費支出のGDP増加への寄与度は71%で、同13.3ポイント上昇した。
国務院発展研究センターの張立群研究員は、「今年は第13次五カ年計画が始まった年で、第1~3四半期の経済の安定成長は通年の目標を順調に達成するための良好な基礎をうち立てた。中国経済はこれから新たな起点、新たなプラットフォームの上でより着実な足取りで進んでいく」との見方を示す。
▽「年納めの時期」安定傾向は続く見込み
集瑞聯合重工営銷服務有限公司の管理担当者・譚東さんは、「9月には受注が目立って増加した。今では1カ月先まで待ってもらわなければならない状況だ」と話す。この安徽省蕪湖市にある企業は主に大型トラックと部品の製造販売を手がけている。
経済データが企業の所感を裏付ける。9月の生産者物価指数(PPI)はマイナスからプラスに転じ、54カ月続いたマイナス局面を脱却し、同0.1%上昇した。
盛報道官は、「これは工業分野の需給関係に実質的な変化が現れたことを意味する。第3四半期に入り、工業電力使用量、発電量、貨物輸送量などの指標がそろって改善し、工業の安定傾向が明らかになった」と述べた。
盛報道官によると、「これは供給側の構造改革と直接関係がある。一部の遅れた生産能力が淘汰された後、市場の需給関係に積極的な変化が生じ、さらに国際市場における大口商品価格上昇という要因が加わり、工業分野で価格が上昇し、工業企業の利益が好転し、発展への信頼感も高まった」という。
需要サイドからみると、変化は主に投資分野に集中して現れた。統計をみると、今年に入ってから低下を続けていた投資の増加ペースが第3四半期には安定に向かった。そのうち第1~3四半期の製造業への投資は同3.1%増加し、増加ペースは今年初めて上昇となった。9月の民間都市の増加率は4.5%で、8月にマイナスからプラスに転じたことを土台として上昇を続けている。
同センターの許召元研究員は、「製造業への投資は民間投資の主な投資先であり、市場化のレベルが高い。現在、この部分の投資はすでに安定化し、中でも消費類と先端製造業への投資の伸びが目立って回復しており、ある程度持続可能性があることがわかる」と話す。
商務部市場運行・消費促進司の李習臻副司長は、「第4四半期は伝統的に消費の盛んな時期で、これにマクロ経済の安定化や改革のメリットが次々に発揮されていることが加わり、消費市場は安定した増加ぶりを維持することが予想される」と話す。
アナリストは、「経済運営に多くの積極的な変化があったとしても、土台はまだしっかりしていない。たとえば輸出が弱まり、金融リスクが局部的に累積するなどは、いずれも非常に注意が必要な問題だ。だが全体としてみると、第4四半期の中国経済は安定成長を維持するものと期待される」との見方を示す。(編集KS)
「人民網日本語版」2016年10月21日
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