中国国家統計局はこのほど、2016年1-9月期の国民経済の状況を発表した。速報値で、同期の国内総生産(GDP)は、比較可能な数値を基に前年同期と比較して6.7%増加し、52兆9971億元(約815兆9207億円)に達した。第三四半期(7-9月)だけを見ても、6.7%の成長と、第一四半期(1-3月)、第二四半期(4-6月)の良い流れを引き継いだ。アナリストの間では、「中国の経済は全体的に安定しているだけでなく、経済の動向、成長構造、発展の質などを反映する重要データも予想を上回り、経済全体が安定して成長し、質も安定して向上している」との見方が優勢だ。これで、これまでささやかれていた「急降下」、「衰退」などの中国経済「失速論」は打ち消されることになる。人民日報海外版が報じた。
重要データが予想上回る
新常態(ニューノーマル)下の中国経済は伸び悩んでおり、今年に入ってから、国際機構の「中国経済は失速する」との声が高まった。そして、「中国経済は、今年第二四半期以降、急降下するだろう。中国経済の成長の原動力が消えるのは時間の問題」との声が上がっていた。しかし、それら「失速論」は今回、打ち消された。
工業用電力量、発電量、貨物運輸量などの指標が全て好転し、社会消費品小売総額は前年同期比10.4%増で、中国全土の住民平均所得の成長は国民一人当たりのGDPの成長速度を上回っており、民間の投資の成長速度は1-8月と比べて0.4ポイント上回った。また、都市・農村部の新たな就職者は1067万人と、今年の目標を3ヶ月前倒しで達成した。これら、中国経済の最新の状況は、GDPが引き続き急速に成長しているほか、重要指標が予想を上回っていることを示唆している。
中国国際経済交流センターの徐洪才副チーフエコノミストは、「今年の1-9月期、中国経済の主なデータは、驚きの結果となっている。『失速論』や『急降下』などの論調は打ち消された。今年の1-9月期の中国のGDPは6.7%増だったものの、昨年、中国経済は全ての四半期で前四半期と比べて成長したため、今年の1-9月期の成長基数は実際には、第一四半期、第二四半期よりも大きく、絶対成長量も大きかったことになる。また、中国の経済成長の質も以前より向上している」と強調している。
中国国務院国有資産監督管理委員会研究センターの胡遅研究員ら、複数の学者は、「世界経済には不確定要素が満ちており、回復の力が乏しいという背景の中、中国のマクロ経済のパフォーマンスは、世界の他の国とグラフにして比べると、依然として際立っており、GDPの成長速度6.7%を保っているというのは高く評価できる」との見方を示している。
構造調整の効果が現れ始める
実際には、経済成長速度と比べて、現在の経済構造の転換と成長の原動力の移行に関連したデータの変化は、中国経済の中・長期の動向を判断するのに、一層意義ある参考資料となっている。
国家統計局の盛来運・報道官によると、「現在、供給側の構造性改革が積極的な進展を見せており、新しい成長の原動力が急速に成長している。そのため、安定したベースがさらに強化されている。具体的に見ると、まず、『三去(生産過剰・生産コスト過剰・不動産在庫過剰の改善)、一降(金融システムの安定化)、一補(競争力の強化や成長分野の拡大)』の効果が現れている。例えば、1-9月期、石炭の生産量が前年同期比10.5%減になり、9月末、分譲住宅の在庫面積が7ヶ月連続の減少となった。企業のコストや資産負債率も下降している。次に、産業構造のグレードアップが続いている。1-9月期、サービス業の付加価値増加値が、GDPに占める割合は昨年同期比1.6ポイント上昇となった。また、ハイテク産業の付加価値増加値や設備製造業の付加価値増加値も、一定規模以上の工業の価値増加値の成長速度を上回った。最後に、需要の構造もグレードアップも続いている。うち、ハイテク産業の投資、サービス業の投資などが全体に占める割合が上昇している一方、高エネルギー消費業界が占める割合は下降している」。
今月20日の記者会見で、工業・情報化部(省)の関連の責任者は、「1-9月期、中国のハイテク製造業の付加価値増加値の工業の成長への寄与率は20%以上に達した。1-8月、工業ロボットの生産量は前年同期比30%以上増となり、太陽電池や光電子の部品などの生産量も20%以上増となった。『エネルギーの経済効率が前年同期比5.2%減』や『登録する企業の数が平均1万4600社』など、一見ちょっとした変化と同じで、これらは、中国経済の構造調整が効果を上げている確固とした証拠となっており、経済の新たな原動力が日に日に力強くなっていることを示している」と強調した。(編集KN)
「人民網日本語版」2016年10月24日
|