現在位置: ニュース>政治
安倍政権、中国への「善意」はいかほどか?

 

靖国神社の秋季例大祭中、安倍晋三首相は参拝を回避した。菅義偉官房長官は数日前、鳳凰衛視のインタビューに応じた際に「安倍首相は政権発足以来、中日関係の改善に取り組んできた。また年末の中日韓首脳会談の開催に向け積極的に準備を進めている」と述べた。

日本政府は今年下半期に入ってから中国に善意を示し続けており、注目を集めている。これは中日関係の異常な局面の、一定の転機を示すものだとする声もある。それでは、安倍政権はどの程度の善意を示しているのだろうか?安倍政権の4年間の外交を振り返ると、このような考えは独りよがりであるかもしれない。中日関係がすでに、一種の「冷たい平和」という新たな常態になったとしか言えない。

21世紀に入ると、中国が台頭し、東アジアの舞台で重要な役割を演じるようになった。日本は経済が長期低迷し、中日のパワーバランスに根本的な変化が生じた。これを背景に、中日関係をいかに見つめ直すかという議題をめぐり、日本の対中外交理念に大きな矛盾が生じた。まず中国の台頭をけん制し、日本のアジアにおける強い地位を維持・奪還しようとしている。その一方で中国の発展の快速列車に便乗し、「失われた20年」の悪夢から早期脱却しようとしている。この矛盾した状態により、小泉政権から安倍首相の再任に至るまで、日本の外交は親中・反中の間で揺れ動き、変化した。これは安倍首相が再任以来、日本の対中外交戦略を調整する基礎となった。

2014年以降、安倍内閣が政権与党の地位を固め、対中外交が全面的なけん制の状態に入った。独断専行で国家の資源を浪費し、あちこちで中国の戦略的利益を包囲し、かき乱した。例えば中国の「一帯一路(シルクロード経済ベルト、21世紀海上シルクロード)」戦略に対抗し、日本企業による「チャイナ・プラスワン」戦略を奨励し、中国と一帯一路沿線国での影響力を争奪した。同時にTPPの交渉に加わり、中国の地域経済統合計画に対抗し、TPPを中日韓自由貿易区よりも重視した。軍事面では安保ダイヤモンド構想により、中国に対する戦略的手段を増やすため、日本の制度改革に取り組んだ。武器輸出禁止令を解除し、武力使用の制度の障害を取り払い、国際舞台で中国の軍事的脅威を強調した。これは一部の大国を、「中国の脅威」への対応に抱き込むためだ。

ところが実力に限りがあり、日本政府は中国と全面対抗を展開する勇気を持たなかった。中日両国は互いに重要な経済パートナーだ。アベノミクスが低迷するなか、中国の台頭を利用し国内経済を刺激する。これにより安倍首相は行き過ぎた行動に出られなくなっている。その一方で中国の全面的なけん制を強調しすぎれば、日本の国力を損ねるばかりか、客観的にも日本の外交を米国とより緊密に結びつけることになる。日本はこうして米国の世界戦略の駒に成り下がり、日本の自主性を下げ、日本の国際的地位を損ねることになる。これは「強い日本」を取り戻し、改憲により「正常な国」になろうとしている安倍首相にとって、受け入れがたいことだ。これは過去4年間、中日関係が臨界点に達しようとした時に、日本が常に「手直し」を行った原因だ。

こうして見ると、中日は両国の歴史にとって初の「和して同ぜず、争うも破談しない。交流を絶やさず、互恵・ウィンウィンを目指す」という段階の、「冷たい平和」の段階に入っている。しかしこれは友好、相互信頼、誠意ある協力の精神の欠けた、政治と経済を切り離したレベルの低い関係だ。中日という2つの大国はこれにより、戦術面で助け合うのではなく、損ね合うという苦境に陥っている。これは振興を目指す2つの民族にとって、喜ばしいこととは言えない。

日本の「善意」に対して、我々は出来る限り現実主義的な考えを持ち、その中から公約数と共通認識を見出し、損失を避け利益を最大化するための道を模索することしかできない。段階を踏んで着実に進む方法だ。これは日本に対しても、中日関係の問題を解決する鍵が、常に日本側に握られていると注意を促している。(筆者:孟明銘 復旦大学歴史学部日本研究専攻博士課程院生)

 

「中国網日本語版(チャイナネット)」 2016年10月22日

 

 

人民中国インタ-ネット版に掲載された記事・写真の無断転載を禁じます。 京ICP備14043293号
本社:中国北京西城区百万荘大街24号  TEL: (010)6831-3990  FAX: (010)6831-3850