米国中国総商会(CGCC)金融委員会はニューヨークで先ごろ、人民元国際化特別フォーラムを開催した。中国銀行ニューヨーク支店の黄小軍・戦略研究総監はフォーラムで、人民元国際化のチャンスと試練について分析、解説した。
黄小軍氏は、「人民元は今月初めに国際通貨基金(IMF)の特別引き出し権(SDR)構成通貨に正式採用されてから、国際化に向けた新たな一歩を踏み出した」と指摘。いまのところ、中国と米国の巨額の貿易総量と人民元による限られた貿易決済規模の間には落差があるため、米国のオフショア人民元決済・取引市場には大きな発展の余地があるとしている。
2016年は人民元の国際化で大きな成果が上がった。具体的な成果は次の通りだ。
(1)2016年上半期における米国の人民元市場取引決済額は約10兆元で、世界のオフショア市場では、香港、ロンドン、シンガポール、台湾に続き5位だった。
(2)中国人民銀行(中央銀行)は6月に、米FRBと米国での人民元決済での協力に関する覚書を交わした。人民銀は、人民元適格海外機関投資家(RQFII)の試行地区を米国まで拡大することに同意し、2500億元の投資枠を付与した。これは中米両国の金融協力が新たな段階に踏み出したことを意味し、両国企業と金融機関のクロスボーダー取引での人民元使用にプラスとなり、2国間貿易と投資の利便性向上を促す。
(3)中国外国為替取引センターも6月にニューヨークなどで支店を設立し、中国の為替取引開放を一段と進めた。
(4)人民銀は9月に、中国銀行ニューヨーク支店を米国での人民元決済銀行として正式に認可した。
人民元は国際化の方面で素晴らしい成果を上げているが、中米貿易で人民元決済が占める比率は依然として限られている。このため黄小軍氏は、今後は人民元市場の成長余地は引き続き大きいとみている。SWIFTの統計によると、今年の8月時点で中米貿易での人民元決済比率はわずか2.8%にとどまる。米国の人民元取引量は世界の取引量の9.5%だ。シカゴ商品取引所も人民元先物・オプション取引を開始したが、取引量はまだ多くない。ニューヨーク証券取引所でも人民元をターゲットとするETF・インデックスファンドが見られるようになった。
黄小軍氏はこのほか、「日増しに増える中国の対米直接投資も人民元の米国での使用拡大につながり、米国の個人や機関も人民元を決済通貨として受け入れ始めている」と指摘。今後もより多くの機関が人民元決済を採用するようになれば、人民元の国際化もますますペースが拡大することになる。
「中国網日本語版(チャイナネット)」2016年10月24日
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