新安保法の施行以来、日本の自衛隊が担う任務は増加している。11月に自衛隊は戦場へ行き「駆け付け警護」などの新任務にあたる可能性が高い。戦場で自衛隊員が死傷する恐れは安倍政権にとって大きな圧力だと指摘される。だがたとえ政権を賭しても、安倍政権はやみくもに突き進む。最近、自民党の総裁任期が実質的に延長された。これは安倍首相にとって在任期間が延びる可能性を意味し、心に望み続けてきた「改憲」を推し進めるための時間的余裕を得ることも意味する。人民日報海外版が伝えた。
■問題視する声は大きい
今回安倍政権が海外で平和維持任務を遂行する自衛隊に「駆け付け警護」「宿営地の共同防護」など新安保法に基づく新任務の指示を決定したことに、国内では問題視する声が広がった。
新安保法の施行により、海外で平和維持活動(PKO)に参加する自衛隊は、襲撃を受けた国連職員や市民を武器を携帯して救出することができる。これが「駆け付け警護」だ。この任務を遂行する隊員は銃の携行を許可され、必要時には警告射撃も行える。これが武装人員の襲撃を招き、交戦を引き起こすのではないかと日本社会は懸念している。
共同通信社は「新任務の遂行によって危険が増すことはないというのは、でたらめだ。ひとたび自衛隊員が武力戦闘中に死亡すれば、政府に対する国民の批判が高まるのは必至であり、安倍政権はこれに耐えられない」との、かつて自民党政権で閣僚経験のある政界の人物の発言を引用した。
実際、新安保法強行成立から1年余り、国内外では問題視する声が絶えたことがない。日本国内の圧倒的多数の学者は同法を憲法違反と考えており、民衆は抗議集会を繰り返している。新安保法強行成立から1年となった9月19日、数万もの日本国民が雨の中、東京で大規模な抗議集会を開き、新安保法の廃止を呼びかけた。デモや集会は全国各地でも行われた。日本メディアによると、新安保法に反対する市民集会、デモは過去1年間に日本各地で300回以上行われた。
最大野党民進党の岡田克也前党首は集会で同法の違憲の本質について「何年経とうとも違憲は違憲だ」と声を挙げ、民衆は「何年かかろうとも、新安保法の廃止をあきらめない」とした。
専門家によると、新安保法は自衛隊への若者の共感に深刻な影響を与え、兵員募集を困難にしている。報道によると、2015年の自衛官応募者は約2万5000人と前年比2割減り、2007年以来最少となった。
■頑なな安倍政権
安倍政権は政権を賭してでも新安保法の実践を推し進め続けている。これは実は意外なことではない。2012年に首相に返り咲いて以来、安倍首相は右傾路線を堅持している。靖国神社では10月中旬に秋季例大祭が行われる。17日、安倍首相は同神社に「真榊」を奉納し、「内閣総理大臣」と署名した。近年安倍首相は同神社に供物を奉納し続けていたが、「第2次大戦」に対して真剣に省み、真摯にお詫びしたことはない。反対に安倍政権は安保法を強引に推し進め、防衛費を続けて増加し、軍事装備を拡充し、軍需産業と武器輸出を拡大した。今年9月26日の所信表明演説では、極めて異例なことに自衛隊、警察、海上保安庁に敬意を表すよう呼びかけた……日本軍国主義という幽霊が東アジアの空を徘徊している。
様々な問題視と抗議の声を前にしても、安倍政権は戦後日本の「平和憲法」改正という目標をあきらめてはいない。さらに世界を懸念させるのは、安倍政権がこの目標に一歩一歩近づいているらしいことだ。
NHKの10月19日の報道によると、自民党は同日の役員会で総裁任期延長問題について合意した。高村正彦副総裁が主導し、月内に最終案を示し、来年3月の党大会で党則を改正する予定だ。現在の「1期3年、連続2期可」を「1期3年、連続3期可」に変更する案が採用される可能性が大きい
日本経済新聞は21日、任期が延長された場合、安倍首相は望み続けてきた憲法改正を落ち着いて推し進められると指摘した。日本の与野党各党が衆参両院の憲法審査会で憲法改正案を決定するには長い時間が必要であり、2018年9月までという安倍首相の任期内には終らない可能性がある。
分析が一致して指摘するように、新安保法の成立と施行は、日本がいつでも世界の軍事衝突や紛争に介入できる「戦争のできる国」になることを意味する。日本国内の世論は同法を日本を「戦争を発動、参加できる」道へと導く、危険に満ちた「戦争法」と呼んでいる。安倍首相は政権を賭しても同法の実践を推し進め、「憲法改正」の目標へ向かって大股で前進している。
現在の問題は「誰が安倍政権を阻止できるのだろうか?」だ。(編集NA)
「人民網日本語版」2016年10月26日
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