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日比の南中国海問題をめぐる「合意」は存在せず

 

共同通信など複数の日本メディアは26日夜、訪日中のフィリピンのドゥテルテ大統領が安倍晋三首相と、南中国海の仲裁結果を尊重することで合意したと報じた。日本メディアは大喜びし、米国などの西側メディアもドゥテルテ大統領が口にした「経済のため」という訪中目的を強調した。これらの報道は、フィリピン大統領が対中関係の全面的な改善の意向を持っていないよう印象づけようとしている。まるでフィリピンが現在も、南中国海問題で中国と対立しているかのように。

ところが両首脳の公開された発言内容、それからドゥテルテ大統領の別の会見内容をよくみると、日比の南中国海問題に関する調整や「合意」などは見当たらない。実際には安倍首相が南中国海の仲裁を大きく取り上げ、ドゥテルテ大統領がホストが気まずい思いをしないようにと一言二言応じただけに過ぎない。

ドゥテルテ大統領は東京で、フィリピンが「(仲裁)判決の範囲外の立場を取ることはない」と述べ、フィリピンは「日本と同じ側に立つ」と安倍首相を慰めたが、これらの発言はすべて空虚だ。ドゥテルテ大統領はその他に、より実質的で重要な発言をした。

ドゥテルテ大統領は安倍首相に対して、中国と南中国海問題を「平和的に解決」したいと述べ、「中国と対話する必要がある」と判断した。またドゥテルテ大統領は26日、東京の別の講演で再び米国を批判し、「外国軍は2年内にフィリピンから出ていくこと」と述べた。米国のフィリピン撤退の日程表を口にしたのは、これが初めてだ。

ドゥテルテ大統領は同じ場で「憲法には、フィリピンが独立した外交政策を持てると明記されている。私は近隣諸国と対立しない、中国の友人になりたい」「私は武器を必要としていない。我が国にミサイルを配備する必要はなく、爆撃機が使う空港を設置する必要はない」「私たちは米国の協力がなくても生き残れる。生活の質はやや悪化するかもしれないが、私が言ったように、私たちは生き延びる」と述べた。

これらの観点は日本の期待とは程遠い。日比は確かに良好な関係を持つが、南中国海政策で両首脳は異なる路線を歩んでいる。面と向かい合えば友好を演出するが、これは真の「合意」とはまったく異なっている。

安倍首相はフィリピンが、米日の南中国海戦略の駒であり続けることを願っている。ドゥテルテ大統領はフィリピンの独立した外交を主張しており、フィリピン自身の国益を求めている。双方の戦略の出発点は、ほぼ真逆と言える。

真の合意は、ドゥテルテ大統領の訪中期間中に、中国の首脳との間で形成された。しかも重要なことに、ドゥテルテ大統領は東京でも「北京での合意」を貫いた。その中心的な内容は、中比が友好協力の道に戻り、南中国海の係争を棚上げにし、南中国海の敵から協力パートナーになり、互恵とウィンウィンを実現することだ。

中国と米日はいずれもフィリピンを争奪しようとしているが、主導権は中国側にある。中国はフィリピンと同盟を結ぼうとしておらず、フィリピンと米国の対抗にも期待していない。ただ中国と友好関係を発展させ、南中国海問題で二国間対話を展開し、大国の食い違いが生じている分野で出来る限り中立を維持することだけを願っている。これはドゥテルテ大統領の意向に沿い、フィリピンの国益と高度に合致する。

米日はフィリピンに無理強いをし、中国との対立を維持するよう促している。彼らが宣伝に力を入れる南中国海の仲裁は一つの道具、フィリピンに仕掛けた罠に過ぎない。ドゥテルテ大統領はそれをはっきり認識している。このフィリピン大統領を子供扱いし、勝手に「合意」を形成できるわけがない。

 

「中国網日本語版(チャイナネット)」2016年10月27日

 

 

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