小さな山になっている荷物、鳴りやまない電話、引っ切り無しに荷物を取りに来る大学生……。じっくりと観察しなければ、煙台大学(山東省)の総合商店の片隅にある宅配便の支店が他の支店とは少し違うことに、多くの人は気づかないだろう。新華網が報じた。
そこには市内の地図もなければ、荷物の受付・配達の報告表もなく、連絡業務用のソフトも使われていない。そして、棚の後ろにある机に置かれているパソコンからは英スタンフォード大学の英語の公開授業の動画が流れている。荷物を取りに来た学生はその音を聞いて、「宅配員のお兄さんがそれを見ているの?」と驚く。
動画を見ているのは山東省出身の譚超さん(32)で、宅配業者の支店の店長。その日、荷物の配達の手配が全て終わると、空は美しい夕焼けとなっていた。譚さんは店を閉めて、パソコンを開き、たくさんの本の中から分厚い古典籍を選んで、北東アジアの資料を調べ始めた。そして、数百年前に高麗、モンゴル、中原が親善を保っていたことについて研究していた。
譚さんのもう一つの顔は、吉林省の延辺大学歴史学部の博士課程の学生だ。
譚さんが宅配便の仕事を始めたのは2010年。当時は配達のための車両もなく、道も知らなかったため、最も多いときでも1日に30個の荷物を配達するのがやっとだった。最も少ないときは配達するのは2個だけだったという。他の宅配員が何十個も配達しているのを見て、決まった場所に代理店があって、学生に自分で取りに来てもらうことができれば、效率が格段に上がるのではと考えるようになった。
そして、宅配大手・中通の支店代理権を取得して2年目、譚さんは煙台大学の少数民族史学部の大学院生となった。
宅配業界は、譚さんの想像を超えるスピードで発展し、荷物の量も毎年倍増している。荷物が増えるにつれ、宅配の効率も上がるようになり、今年は1日当たり約1千個の荷物を処理できるようになったという。
譚さんの支店は、彼の博士論文の索引ページのようにとても秩序正しい。譚さんはざっと見積もって、2010年から現在に至るまで、60万個以上の荷物を処理してきたという。「僕が読んだことがある文献のページ数よりも多い」と譚さん。(編集KN)
「人民網日本語版」2016年11月4日
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