経済援助は日本が対東南アジア外交でよく切り出すカードだ。フィリピンのドゥテルテ大統領の訪日期間、両国は一連の協力文書に署名した。これにはフィリピン政府の農業振興への援助が含まれる。11月上旬に訪日したミャンマーのアウン・サン・スー・チー国家最高顧問兼外相に対しても、安倍首相は同じように経済のカードを切り、ミャンマーのインフラ整備と双方のエネルギー協力に充てる巨額の援助を約束した。
同時に日本はいわゆる「価値観外交」を積極的に推進している。安倍首相はドゥテルテ大統領との会談で、フィリピンに取り入ろうとした。日本とフィリピンは重要なパートナーであり、自由・民主・法の支配を含む基本的価値観を共有していると称した。安倍首相はスー・チー氏と会談した際にも、ミャンマーと日本は自由・民主・法の支配などの基本的価値観を共有していると述べ、かつスー・チー氏のミャンマーの民主化への貢献を力強く賞賛した。
南中国海問題は、日本の対東南アジア外交のもう一つの重要な議題だ。ドゥテルテ大統領の訪日中、日本はフィリピンの海上安全保障能力の強化を支援すると約束し、さらに大型巡視船2隻と海上自衛隊のTC-90S練習機を交付する文書に署名した。
マレーシアのナジブ首相が今月中旬に訪日した際に、安倍首相は南中国海沿岸国への援助強化の一環として、大型巡視船2隻を提供した。日本の外務省によると、双方は南中国海問題について意見交換し、「海洋法治と国際協力」の重要性を確認したという。
アナリストは「日本は東南アジアを抱き込もうと躍起になっているが、これにはまず戦略的な狙いがある。安倍首相は海洋問題を利用し中国をけん制しようとしているが、フィリピン、ミャンマー、マレーシアなどの東南アジア諸国は、間違いなく重要な駒だ」と判断した。
メディアは、次期米大統領に選出されたトランプ氏が、来年1月の就任後の一定期間に渡り国内の問題を優先的に処理し、アジア太平洋地域に時間をかけることができないと分析している。日本は外交の取り組みを拡大し、同盟国の米国が不在のうちに、自国の同地域における存在感を高めようとしている。
戦略的利益を求めると同時に、日本は東南アジア諸国の高度経済発展から商機をつかもうとしている。安倍首相はいわゆる「高品質インフラ投資」を対外的に推進しており、大きなインフラ市場を持つ東南アジア諸国がPRの対象になっている(特に高速鉄道の建設)。ナジブ首相が訪日した際に、安倍首相はマレーシアとシンガポールを結ぶ高速鉄道計画にむけ、日本の新幹線を極力PRした。
東南アジア諸国は日本の狙いを、腹の底では知り抜いている。彼らは日本からの経済・技術援助を積極的に獲得しようとしているが、南中国海などの問題で唆されても、中国対抗の駒になろうとしていない。
アナリストは「東南アジア諸国の外交は、最終的に自国の利益を目的とする。各国は中国との間に緊密な経済関係、幅広い協力の余地を持ち、日本のために中国と対抗することはありえない。そのため各国を抱き込み中国をけん制しようとする日本の考えは、無駄になるだけだ」と判断した。
「中国網日本語版(チャイナネット)」2016年11月23日
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