19回目となる「ユーロ・ファイナンス・ウィーク」の「チャイナ・デー」が先ごろ、ドイツのフランクフルトで行われた。
世界経済の変革が進む中での人民元の国際化の進展や、中国と欧州の金融市場の変化や課題、「一帯一路」がもたらす実体経済の発展の機会などについて、掘り下げた意見交換が行われた。
欧州は今やアジア以外で最も重要なオフショア人民元市場に成長、ロンドンやルクセンブルク、フランクフルトなどがオフショアセンターとなった。人民元預金は一定の規模に増加したほか、海外投資家による人民元資産の購入も加速している。
中国は2014年に独フランクフルトに人民元決済センターを設立し、人民元とユーロの直接取引と現地での決済が行えるようにした。これによりドイツの輸出企業にとってはコスト削減や広大な中国市場の開拓につながったほか、ドイツにとっても一段の経済成長や中国との貿易・投資の促進につながった。
中国銀行フランクフルト支店のベルント・マイスト(Bernd Meist)副支店長は、「クロスボーダー人民元業務は当支店業務の1つとなっている。ドイツにおける同業務はゆっくりながらも拡大基調を維持しており、実体経済にも寄与している」と述べた。
中国とドイツの取引所3社が合弁で独フランクフルトに設立したオフショア人民元の取引を行う「中欧国際取引所」(中欧所)は、2015年11月18日に営業を開始して以来、約150品目の金融商品を取り扱ってきた。2016年10月末時点での中欧所の取引総額は累計36.6億元、1日あたりの取引額は1524万元に上る。
中欧所の陳晗Co-CEO(共同経営責任者)は、「中欧所は将来的に多様なETF(上場投資信託)や債券を取り扱っていくほか、中国および人民元建ての新たな金融商品を導入していく予定だ。本土A株に上場する企業が中欧所で人民元建て株式(D株)を発行するよう奨励している」と述べた。
史明徳・駐ドイツ中国大使は、「フランクフルトは欧州における重要な金融センターの1つとして、中国と欧州、中国とドイツの金融協力分野、中でも人民元の国際化において重要な役割を担っている。だが、世界で2番目に大きい人民元決済センターであるロンドンと比べると、なお相当な開きがあることも事実だ。現在、欧州における人民元決済の半数は英国で行われており、フランクフルトがこの競争に勝てるかどうかは、ドイツ自身にかかっている」との認識を示した。
その上で、「ドイツ政府が適度な緊張感を持ちながら適切な時期に、人民元建てソブリン債の発行と外貨準備高への組み入れを行うことを我々は望んでいる。規模は大きくないとしても、明確な政治的シグナルを発信することができれば、国際金融センターとしてのフランクフルトの地位を一段と引き上げることは可能だ」と期待感を示した。
統計によれば、中国とドイツとの年間貿易額は中国と英国との2倍、ドイツの対中投資額は実行ベースで英国の1.34倍に上ることから、中国とドイツとの人民元協力はさらに拡大して然るべきだ。
ドイツ連邦銀行(中央銀行)のカールルートヴィヒ・ティーレ(Carl-Ludwig Thiele)理事は、「我々は人民元の国際化を引き続き支援して行く予定だ。フランクフルトはオフショア人民元取引センターになっており、今後も一段の業務拡大が見込める。連銀も人民元を通貨バスケットに組み入れており、人民元は将来的に国際通貨になるだろう」と述べた。
「中国網日本語版(チャイナネット)」2016年11月24日
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