年末のAPEC会議は2016年の全世界の外交における最終段階の盛大な会議といえ、G20杭州サミットの「中国の案」をどう継承し、世界経済成長の新たな航路をどう切り開くかにとって重大な意義を持つ。今回の会議のテーマは「質の高い成長と人類の発展」であり、G20杭州サミットのテーマ「革新的で、活力ある、連動した、包摂的な世界経済の構築」と同じ流れを汲む。「パートナーシップの深化、発展の原動力の強化」と題する基調演説で習近平国家主席が指摘したように、アジア太平洋は経済統合を促進し、開放型経済を構築する必要がある。コネクティビティを強化し、連動した発展を実現する必要がある。改革・革新を促進し、内生的原動力を強化する必要がある。協力・ウィンウィンを促進し、パートナーシップを深化する必要がある。(文:賈晋京・中国人民大学重陽金融研究院宏観部主任。人民日報海外版コラム「望海楼」掲載)
革新的成長の道筋の面では、APECの「質の高い成長」はG20の「革新的成長」に源を発する。今回APEC会議は「経済の革新的発展、改革と成長に関するコンセンサス」や「質の高い成長の強化に関する戦略」などの成果を挙げ、革新的発展、連動した成長、利益の融合を特徴とする活力に満ちた、調和あるアジア太平洋開放型経済を構築する方針を打ち出した。これはG20革新的成長戦略の「アップグレード版」と言える。
貿易の活力を高める面では、G20の成果を踏まえてアジア太平洋自由貿易圏の構築を推進した。米国主導の環太平洋パートナーシップ協定(TPP)が基本的に中断した後、アジア太平洋自由貿易圏はアジア太平洋地域の将来の経済貿易構造の構築の原動力となる。
連動した繁栄を促進する面では、APECはG20インフラ・コネクティビティ・イニシアティブを具体化した。「グローバル・インフラストラクチャー・コネクティビティ・アライアンス・イニシアティブ」はG20杭州サミットの重要な成果だ。そして今回のAPEC首脳会議は「宣言」で「具体的かつ有効な地域コネクティビティへと踏み出す」ことに大きな紙幅を割き、「APECコネクティビティ・ビジョン(2015-2025)」をまとめ、2025年までにアジア太平洋地域の切れ目のない全面的なコネクティビティと融合を実現することを主たる目標として打ち出した。これはG20の成果を具体的に実行に移すものだ。
包摂的発展の推進面では、APECは実際の行動によって「持続可能な開発のための2030アジェンダ」を実行に移した。今回のAPEC会議が打ち出した「持続可能な開発のための2030アジェンダ」実行のための「APEC教育戦略」「食糧安全保障と質の高い成長を強化する農村・都市発展戦略フレームワーク」などの文書はいずれも、G20が「持続可能な開発のための2030アジェンダ」実行行動計画に盛り込んだ重要な措置だ。アジア太平洋地域はこれによって「持続可能な開発のための2030アジェンダ」実行の「モデルルーム」となることが望める。
アジア太平洋地域は世界経済の最も重要なプレートであり、最も発展の活力を備える地域でもある。中国とアジア新興国の経済規模は世界経済全体の63%を占め、貿易規模は約世界全体の半分を占め、2015年の経済成長速度は世界平均を60%上回っており、世界経済成長のメインエンジンであると言える。世界経済の行方を占う鍵はアジア太平洋にある。
今回のAPEC会議の成果は、「中国の案」がすでにアジア太平洋の経済貿易の「航路図」となったことを十分に示している。APEC首脳会議の「宣言」は習主席の談話の精神を十分に受け入れており、改めて「中国の案」のアピール力を裏付け、世界の問題における中国の影響力を示した。世界で経済規模が最大で、最も発展の活力を備える地域であるアジア太平洋地域は、「中国の案」を通じてリーダーシップを発揮し、力強い調整行動を取り、世界経済の回復に新たな原動力を注ぎ、世界経済の成長に新たな航路を切り開く。(編集NA)
「人民網日本語版」2016年11月25日
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