北京市内から40キロ余り。周口店鎮の北京原人遺跡に近い長溝谷炭坑が今年、正式に廃坑する。これにより北京市の100万トンに上る石炭生産能力が消えることになる。加えて、80万トンの生産能力を持つ上、門頭区の王平村炭坑も廃坑となり、合わせて180万トンの石炭生産能力が停止される。その結果、北京市の生産量削減の取り組み目標が達成されることになる。これは全国の石炭生産能力削減の取り組みの中でもトップの成績である。2020年までに北京市は、現存する5大炭鉱を順次廃坑にする計画で、その後は北京から炭坑が消える。元代から始まった800年近い歴史に幕が閉じる。
長溝谷炭坑は京煤集団所有の炭坑だ。同集団は北京市唯一の国有石炭採掘企業で、北京市内の炭坑は全て同社のものである。「1949年の解放以来、北京の人々が料理を作ったり、暖を取ったりした石炭は、基本的に京煤集団が採掘したものだ」。同社の歴史は1948年に遡る。北京の石炭発展史において重要な地位を担い、ピーク時には800万トンを生産、従業員数の5.8万人を抱えていた。石炭は北京のほか、天津や河北省でも使用された。
北京市発展改革委員会の担当者によると、今年から2020年までに、「生産量を年々減らし、炭坑を徐々に廃坑にし、スムーズに退出する」という原則に基づき、北京市は積極的に600万トンの石炭生産能力を停止してきた。北京の西にある京西五大炭坑を順次廃坑にする予定で、最終的に全炭坑を廃坑にする目標をたてている。
京西五大炭坑は、長溝谷、王平村、木城●(●=木へんに間)、大安村、大台の炭坑からなる。今年、長溝谷炭坑、王平村の炭坑が順調に廃坑となり、180万トンの生産能力が停止された。残りの3つの炭坑も2016年から2020年にかけて順次廃坑となる。京煤集団は企業内部で、配置転換、条件に合った従業員への早期退職、労働契約の終結や話し合い、
定年退職などの方法で、従業員に対する合理的な調整を行っている。「今年は3340人の調整を計画している。1月から10月までに2944人の調整が終わり、調整費用は1億4700万元に上る」と、京煤集団の責任者が説明する。
「石炭生産能力の削減は“廃坑して終わり”では済まされない。廃坑地区での代替産業のインフラ建設に固定資産投資部門から90%の資金支援があり、部門は産業のモデルチェンジとバージョンアップを支援している」と北京市発展改革委員会の担当者が述べる。
北京市西部の生態環境育成地区に位置する京煤集団は、豊富な土地資産を持っている。どの炭坑にも700~800畝(1畝=6.667アール)の工業広場がある。京西炭坑が徐々に廃坑になるにつれて、これらの地区は総合不動産開発がなされ、産業のモデルチェンジや資源の再利用が進むことになる。
京煤集団は今後、健康産業やレジャー産業、ハイテク産業、ハイテク要素を取り入れた文化観光産業、シルバー産業などの新型産業に軸足を移す予定だ。廃坑地区はライフ経済地帯、エコ産業地帯に生まれ変わる。「歴史的に我々は、採掘をしながら造林も行ってきた」と同社担当者は話す。同社は17.4万畝の原生林を持ち、廃坑が進めばそれらの規模はさらに拡大していくことになる。
「中国網日本語版(チャイナネット)」2016年11月30日
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