日本でこのほど行われた関税・外国為替等審議会で、日本の財務省は新興国向けに実施する「特恵関税」の適用対象国の条件の見直しを行い、中国やメキシコなど5カ国をリストから除外することを決定した。これらの国々は経済が発展を続けており、援助の必要性が低下したからという。日本政府は2019年度から政策の変更を実施する予定だ。日本側の試算では、現在、特恵関税制度で日本が減免する関税額は330億円に上り、このうち今回リストから除外されることになった5カ国が300億円を占めており、今後はこの部分の関税が値上がりして日本政府の税収が増えることになる。「国際商報」が伝えた。
注目されるのは、このニュースが伝わったのが、米国のトランプ次期大統領が中国など各国からの輸入製品に45%の関税をかける計画を明らかにした後だったことで、タイミングのよさが意味深長な印象を与えた。
▽吹き始めた保護貿易の風
日本メディアの報道によると、日本が2015年に優遇税率を適用した輸入製品のうち、中国からのものが60%に上った。新たな規定が実施されると、1千~2千品目の製品の関税が値上がりすることになる。日本政府関係者の中には、「(対象外となった国々は)経済がすでに発展しており、引き続き関税の優遇措置を受ける必要があるだろうか」と疑問の声を発する人もいる。
だが本当にそうだろうか。商務部(商務省)の沈丹陽報道官は記者会見で、「中国経済の規模は世界2位になったが、一人あたり国内総生産(GDP)、都市部と農村部の発展格差、社会福祉などの面では先進国との開きはまだ非常に大きく、近代化の道は依然として長い」と述べた。
また中国現代国際関係研究院日本研究所の劉雲・副研究員は、「実際、この部分の関税を撤廃しても輸出国に与える影響は限定的で、その影響も原産地規則が企業にもたらす打撃よりはるかに小さい。日本にとって、関税が値上がりする製品の多くは農産品と鉱工業製品だ。資本立国をめざし、国内産業は輸入初級製品の深加工をよりどころとし、農業構造の改革を進めたい日本にとって、今回の措置は構造改革にマイナスにはたらく」と述べる。
日本メディアも保護貿易主義の風潮に懸念を表明する。報道では、多くの日本企業が中国に拠点を建設しており、財務省が制度の調整を実際に行うまで2年間の過渡期があるが、中国から原料を輸入する日本企業は拠点配置や製品価格の面で影響を受けることになるという。
劉副研究員は、「日本メディアの報道した内容から考えて、財務省の目的は税収増加であり、今回の動きは短絡的だ。日本の将来はグローバル化に深く関与し、岩盤のような規制をうち破ることにあり、関税を増やすことではない」と指摘する。
また劉副研究員は、「日本の動きはグローバル化逆行の流れを反映したものであり、このことは米国大統領選挙でトランプ氏が当選し、環太平洋経済連携協定(TPP)からの離脱や関税値上げを打ち出したことと一致することに注意しなければならない。現在、世界の貿易額は減少しており、保護貿易主義が新たな世界的現象となっている。またグローバル自由貿易の阻害要因は、往々にして発展途上国や新興エコノミーから生まれるのではなく、米国や日本などの先進国で生じることが容易にみてとれる。これまでの先進国がグローバル化推進の障害物となっており、今後の国際秩序のさらなる自由化への前進を後押しする大役は、すでに発展途上国の肩に担わされているといえる」と話す。
沈報道官は、「現在、世界経済の復興は引き続き弱々しく、国際貿易・投資が低迷している。中国と日本はともに世界の貿易大国であり、お互いに重要な貿易パートナーであり、両国の経済は相互補完性が高く、協力の発展は双方にとって利益になる。双方がともに努力し、同じ方向を向いて進み、中日経済貿易関係の健全な発展を後押しし、世界の経済成長に貢献することを願う」と述べた。(編集KS)
「人民網日本語版」2016年12月6日
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