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「小細工」は中米関係の大構造を変えられない

 

12月2日、米次期大統領のトランプ氏と台湾地区指導者の蔡英文氏が電話会談した。この事件に世論が注目したのは、両氏が何を話したかではなく、通話自体が尋常ではないことにある。(文:華益文・国際問題専門家。人民日報海外版コラム「望海楼」掲載)

通話を行うという行為自体が「1つの中国」原則に背き、米国の遂行する「1つの中国」政策にも違反する点で悪質であると言える。さらには中米国交樹立以来、米国の現職大統領または次期大統領が台湾当局指導者と直接接触するという悪質な前例を作ることになり、中米間の関係にまで抵触する問題となる。

通話のタイミングは敏感だ。第1に、「台湾独立」を党綱領に掲げる民進党が今年島内で再度政権を握り、民進党当局は92年コンセンサスを承認しようとせず、8年続いた両岸関係の平和的発展という良好な基調と成果は深刻な打撃を受けた。第2に、トランプ氏が米大統領に当選し、中米関係が平穏な移行を果たすかどうかには、まだ疑問符がつく。どのような中米関係を未来に持ち込むかは、中国が重視しているだけでなく、世界も大変注視している。

では、通話事件はどのような結果をもたらすのか。台湾問題は中国の主権と領土の一体性に関わり、中国の核心的利益に属し、これまで一貫して中米関係における最も重要で敏感な核心的問題だった。台湾問題の2つの「核心」としての位置づけが、「1つの中国」原則が中米関係の政治的基礎であることを決定づけている。中米関係の歴史も、台湾問題をうまく処理すれば中米関係は着実に発展でき、両国協力が順調にいくことを示している。その逆の場合は、中米関係には波瀾が生じる。この問題で米国が曖昧なことをするのは、意図的であろうとなかろうと、中米関係に悪影響を与える。

米国の一部中国専門家は、トランプ氏はまだ大統領に就任しておらず、公職に就いていない市民であるため、今回の通話を過度に解釈すべきではなく、通話は米国の対台湾政策の重大な変更を示すものではないと考える。だが台湾問題におけるトランプ氏の常識外の行動は、やはりその任期中の中米関係の行方に警鐘を鳴らす。

トランプ氏がまだホワイトハウス入りしていないことを考慮し、しばらくは今回の通話事件を性質の悪い「小細工」と呼ぶ。だが、トランプ氏及びその移行チームは、中米関係にトラブルをもたらすことが、米国自らにトラブルをもたらすことを認識すべきだ。トランプ氏の選挙戦時のスローガンは「米国を再び偉大にする」だった。中米両国の規模の大きさ及び日増しに高まる相互依存度を考えると、中国に難題を与えることで米国に大きなメリットがもたらされることはない。台湾など中国関連の重大な問題での「小細工」は、中米両国の戦略面の相互信頼を損ない、各分野での双方協力の将来にまで災いを及ぼすだけであり、米国にとっては得るものよりも失うものが大きい。中国を敵にまわしては、「米国を再び偉大にする」との目標は大きくそがれる。

「米国優先」は中国の核心的利益を損なうことで実現しなければならないという意味ではない。中米間には確かに競争の一面があるが、依然共通利益が主導しており、協力が主流だ。戦略対立を避ける双方の意向は強く、国際社会も中米が連携してグローバルな試練に対処することを一致して期待している。これは中米関係の大きな趨勢であり、構造だ。

「小細工」は中米関係の大きな趨勢、構造を変えられない。だが「小細工」が多ければ、中米関係の大局は深刻に妨害される。トランプ氏及びその移行チームは中国関連の問題において非常に慎重である必要がある。(編集NA)

 

「人民網日本語版」2016年12月5日

 

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