海外メディアによると、従来型産業の成長が減速するなか、中国政府がモノやサービスなどの資源を共同で利用する「シェアリングエコノミー」(共有経済)の成長促進に注力しているもようだ。中国は破壊的イノベーションを生み出す産業のフレキシビリティが海外に比べて高いという。
9日付け英紙『フィナンシャル・タイムズ』によると、中国の民泊・短期賃貸サービスで北京に本拠地を置く「小猪短租」(Xiaozhu)について、昨年の資金調達に参加した投資家らが同社の企業価値を3億ドル以上と評価したことを挙げ、こうした物件をシェアする業態に投資家が高い期待を寄せていることが伺えると指摘。同業の米エアビーアンドビー(Airbnb)の買収意欲を掻き立てることにもつながっていると報じた。
小猪短租は、中国国内に10万件の物件登録があり、年間旅行者数40億人の中国で2位の民泊・短期賃貸サービス。同じく民泊サービスの「途家」(Tujia)の企業価値は10億ドル、40万件の物件登録数を誇る。一方、米エアビーアンドビーの中国国内での物件登録数は7.5万件。インターネット大手のアリババと提携して、中国の利用客にモバイル決済を提供し、利便性の向上に努めている。同社は向こう1年で物件登録数や投資などを倍増する計画だ。
重工業や不動産業といった従来型産業の成長力に陰りがみえるなか、中国政府は次なる成長エンジンとして「シェアリングエコノミー」に期待しているとの見方が投資家の間で広がっている。「中国の中間所得層は、すでにこうしたシェアリングエコノミーに参加するだけの力を備えてきている」と記事は報じた。
小猪短租の創業者、陳馳(ケルビン・チェン)最高経営責任者(CEO)は中国で広がりつつあるシェアリングエコノミーについて、「30年前には他の誰かと共有できるような物などなかったが、今の中国人には車にしろスペースにしろ、共有できる物が有り余っている」と述べた。
「中国網日本語版(チャイナネット)」2016年12月12日
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