現在位置: ニュース>政治
1本の電話が起こした暴風雨

台湾指導者の電話を受け、トランプ氏が矢面に立たされる

文=クリフォード・A・キラコフ

(元アメリカ議会上院外交委員会上級スタッフ、国際関係分野の著述を重点的に行っている)

米国の次期大統領に当選したトランプ氏が台湾地区指導者の蔡英文氏の電話を受けたことで、騒ぎが引き起こされた。ワシントン方面は大騒ぎとなり、世界各国の外交官たちは皆眉をひそめた。ところが北京方面は泰然自若としており、外交的反応もかなり冷静だった。これは針小棒大だったとでも言うのだろうか?

実際は、トランプ氏は今はまだ大統領ではない。2017年1月20日の就任以前は、彼が何を言おうとそれは公式な立場や効果を有していないのだ。

ホワイトハウスは状況をとてもよく掌握・コントロールしており、非常に明確に米国は以前からの政府の台湾問題に関する「長期的」政策に変更はないと表明した。米国政府はあらためて以前の政府が合意した中米の三つの共同コミュニケを固く支持し、一つの中国の核心的政策を固く守ると述べた。

リチャード・ニクソン元大統領が1972年に北京で歴史的訪問を行って以来、中米両国の微妙な関係の中では、時にいささかの平坦ではない状態も出現した。しかし、効率的でプロフェッショナルな外交手腕によってこれらの問題を解決し、互恵・ウインウインの効果をもたらしてきた。核心的問題に対する理解と尊重があってこそ、両国関係の安定が守られるのだ。

政治と国際的な外交に精通していないトランプ氏は明らかな誤りを犯した。しかしこの誤りは、ほぼ不適任なスタッフや混乱する政権移行期によって引き起こされたものだ。

しかしながら、一部の人は誰かが故意にこのようなことを行ってトランプ氏が以前声明を出した大国との関係を改善、推進するという目標を壊そうとしたと考えている。電話事件はちょうどキッシンジャー元国務長官が北京を訪れ習近平国家主席と会談した数時間後に起こった。

ある政治評論家は、キッシンジャー氏のこのたびの中国行きの目的はトランプ氏に成り代わって友好と建設的なシグナルを伝えることであったと推測している。トランプ氏は電話事件の2週間前にキッシンジャー氏と会見していたのだ。彼らはこの事件の目的がキッシンジャー氏の足をすくい、同時にトランプ外交政策の目標を破壊することではないかと疑っている。

混乱する政権移行期

トランプ氏はすでに選挙段階を成功裏に過ごし、現在は政権移行の段階にある。この移行期は来年1月20日の大統領就任の宣誓をもって終了する。

現在の移行段階は、いわゆる異常に険しく平坦ではないものだ。なぜなら、トランプ氏の当初のチームはすでに解散し、副大統領に当選したマイク・ペンス氏が率いる全く新しいチームが実際的に役割を果たし始めているからだ。チームの改組は必然的に最初からのやり直しを招き、そこから前後の一貫性があり発言内容が一致するチームの形成を送らせている。

混乱の情勢は各種新保守派(ネオコン)や冷戦タカ派が彼の外交政策や国家安全保障チームに浸透しようと試みる状況を招いている。そしてその舞台裏には、トランプ外交戦略の積極的変化に忠実な人と覇権戦略を継続させようという人の間で争いが起きている。

このため、トランプ氏が以前明らかにしていたビジョンを支持する人々は、すでにあらゆる努力でタカ派のチームへの加入を阻止している。しかしながら、電話事件が表しているのは、やはりいざこざを起こす連中とふらちな考え方が目的を達成したということだ。舞台裏での大騒ぎのためトランプ氏は国務長官を選ぶ時間さえない。彼はどうして一致した外交政策を持てるだろうか?

今のところ、台湾地区の報道は電話事件は1人あるいは複数のトランプ選挙チームのメンバーが操っているとしている。

実のところ、これ以前の40年のうちに米国大統領としてこうした電話を受けた者はなく、このため重大な外交秩序違反だと見なされている。国際社会と国際連合は一つの中国政策を支持しており、台湾地区は中国の領土の切り離すことのできない一部分と認めている。台湾地区の地位はハワイと似ていると言うことができる。ハワイは米国本土外の一つの州であり、台湾地区は中国大陸外の一つの省なのだ。

 

1   2   >>  

人民中国インタ-ネット版に掲載された記事・写真の無断転載を禁じます。 京ICP備14043293号
本社:中国北京西城区百万荘大街24号  TEL: (010)6831-3990  FAX: (010)6831-3850