中央経済政策会議は次年度の経済の方向性をつかむ上での最も重要なバロメーターといえる。現在のようなかつてない複雑さを抱えた経済情勢の下では、会議から中国経済の新たな位置づけを探ることがより重要になる。(文:管清友・民生証券副社長、民生証券研究院院長)
今回の会議を振り返ると、中央政府の情勢判断には次の3つの重点があることがわかる。
(1)経済が安定の中で安定を求めた。中央経済政策会議の経済情勢判断の総合的な特徴は、安定の中で安定を求めた、安定の中で好転した、質と効果が向上した、だといえる。こうした判断からわかるのは、中央政府が国内総生産(GDP)の増加ペースは鈍化したものの、短期的に大幅に低下することはなく、L型の成長を維持するとみていることだ。GDP成長率目標は一層希薄なものになり、政策の重心が発展の質と効果の向上を中心とした供給側改革へと傾斜することが予想される。会議での要求を踏まえると、財政政策はさらに積極的かつ有効になり、金融政策は安定した中立性を維持し、2015年の会議で要求された「財政政策は取り組みを強化する必要があり、金融政策は適度な柔軟さが必要」という内容に比べて、財政政策も金融政策も安定成長の取り組みが消極的になる可能性がある。
(2)構造が最適化した。第13次五カ年計画の指摘によると、革新、協調、グリーン、開放、共有の発展理念を樹立する必要がある。第13次五カ年計画スタートの年の変化は明確で、▽経済構造が最適化すると同時に、発展を支える革新の役割が高まった▽生態環境が好転し、グリーン発展の効果が現れ始めた▽改革開放が新たな飛躍を遂げ、基礎的改革措置が基本的に出そろった▽貧困人口が1千万人以上減少した見込みで、より多くの人々が発展の成果を共有するようになった、などの変化がみられた。バランスのとれた発展の成果は明確に指摘されておらず、これは目下の地域格差、都市部と農村部の格差などのさらなる縮小が必要であることを意味する。
(3)矛盾の問題が突出していた。今回の中央経済政策会議では直面する4つの突出した矛盾が明確にされた。1つ目は生産能力の過剰と需給構造のバージョンアップとの間の矛盾だ。過剰生産能力を解消すると同時に、供給の効率を向上させ、消費のモデル転換の方向性に合致した中高級商品の供給を増やす必要がある。2つ目は経済の内側にある成長のエネルギーが不足していることだ。今年の経済は全体として安定し、主なエネルギーは不動産とインフラの投資からきていた。この2つは政策の影響を受けやすい。3つ目は金融リスクの集積だ。資産が回転する中で金融機関はレバレッジを拡大し、国民はレバレッジを拡大して不動産を購入したが、流動性が逆の動きをみせると、デレバレッジの圧力に直面することになり、金融システムのリスク・エクスポージャーが上昇した。4つ目は一部地域で困難が増大したことだ。都市と農村の格差、地域間格差が拡大し、地域のバランスのとれた発展戦略を加速的に推進し、的確な貧困扶助の措置を実施することが必要だ。
全体としてみると、経済情勢は安定しつつも懸念を抱いており、これを土台として、中央政府の政策の基調は引き続き安定の中で進歩を求めることにある。今年の中央経済政策会議では「安定の中で進歩を求める」が国家運営と政治の重要な原則、および経済業務をしっかりと進める上での方法論に格上げされた。
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