米国の「アジア太平洋回帰」戦略は、中米間の緊張を強め、さらに中国とASEAN諸国(特に中国と南中国海の主権問題を抱える国)の緊張を強めた。米国は同戦略が中国の台頭に向けられていると明言した。中国は米国をアジアから追い出していないが、中国の台頭は米国のアジアにおける派遣の脅威と見なされている。この意向により、アジア回帰が失敗に終わることが最初から決まっていた。米国が西側国際関係の「ゼロサムゲーム」の論理を延長しているが、これが中国の国際関係の論理と合致しないからだ。シンガポール華字紙『聯合早報』(電子版)が20日に伝えた。
米国のアジア回帰という計画は突貫工事で作られたものであり、不備を露呈している。この戦略は経済・軍事のバランスを取っていない。米国の戦略は理論上、経済と軍事の2つからなるが、そのいずれにも問題が生じている。
具体的に見ると、経済では環太平洋経済連携協定(TPP)だ。米国はTPPの矛先を中国、特に国有企業に向けていると明言した。米国にとってのTPPとは、経済貿易協定ではなく政治協定に近い。そのためTPPは米国の国内の要素が十分に検討されておらず、国内で強い反発が生じた。経済的には、トランプ次期米大統領がTPP離脱を宣言したことは惜しい判断とされているが、政治的には米国の離脱は必然的だ。
軍事面を見ると、米国のアジア回帰戦略は南中国海問題という、間違った足がかりを見つけたようだ。南中国海は中国と東南アジアの関連諸国(ASEAN全体ではない)の歴史問題だ。米国は情勢を見誤り、この問題を中国・ASEAN関係の問題とし、さらに中米関係の問題とした。米国の出発点は典型的な米国の論理であり、南中国海問題により中国をASEANの「敵」にしようとした。
米国は中国の台頭を恐れ、中国のさまざまな「脅威」を阻止しようとし続けている。しかしそれと同時に米国は、中国の台頭に対し徐々に調整を進めている。その理由は単純だ。二国間関係にせよ国際的なレベルにせよ、中米両国は協力を続けており、協力を必要としているのだ。しかし米国が東南アジア諸国に伝えた情報は、完全に間違っている。米国は東南アジア諸国に対して「米国は必ずあなたたちの側につくから、大胆に中国に対抗すればよい」と伝えた。この間違った情報は、一部の東南アジア諸国の判断ミスを招いた。
「一帯一路」(シルクロード経済ベルト、21世紀海上シルクロード)は中国版のリバランス戦略で、中国・ASEAN関係の重点を安全面から経済貿易面に引き戻すことを目的としている。中米両国の近年の駆け引きを見ると、両国の戦略に大きな差があることが分かる。分かりやすく言えば、米国は軍事を中心、経済を補助としている。中国は経済が中心、軍事が補助だ。米国が軍事を中心とするのは、経済が相対的に衰退しているが、依然として強い軍事力を持つからだ。中国が経済を中心とし軍事を補助とするのは、中国が歴史的に商業・貿易大国であり、軍事拡張主義の文化的遺伝子を持たないからだ。
中国は南中国海問題についても、米国の軍事的なアジア回帰に力強く反撃すると同時に、公然たる衝突を防止するため効果的にコントロールしている。中国の近年の重点は「一帯一路」、すなわち経済貿易戦略となっている。この戦略は米国の「(軍事)リバランス」を効果的に相殺すると同時に、中国・ASEAN関係の持続可能な発展を促し、ウィンウィンを実現する条件を整えている。
「中国網日本語版(チャイナネット)」2016年12月22日
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