日本の安倍晋三首相の2016年を一言で形容するならば、「芝居」が最も適切だろう。安倍首相はこの一年に渡り、世界各地を奔走し、高圧的な姿勢により得意とする「地球儀を俯瞰する外交」を実践した。
存在感のアピールに全力を尽くす、安倍政権の意図は非常に明白だ。外交の成果を手にし、内閣支持率を上げ、改憲を推進する。中国をけん制する包囲網を構築し、日本のアジア及び世界的な発言権を高めようと試みることで、中身のない空想じみた政策を覆い隠すのだ。
あちこちで芝居、米国に歩み寄り
リオ五輪の閉幕式でマリオに変身し、国際的な慣例に背きトランプ次期米大統領を訪問し、オバマ大統領の任期が残すところあと1ヶ月というタイミングでの真珠湾訪問を突如発表した。安倍首相は今年、予想外の動きを見せたが、そのすべてが芝居じみていた。
今回は真珠湾を芝居の舞台とし、世界にいわゆる「平和的な立場」を見せつけることで、各国の警戒を弱めようとした。しかし「謝罪」ではなく「追悼」ばかりを強調するやり方により、安倍首相の歴史に関する真の態度が明らかになった。中国外交部の陸慷報道官が指摘したように、日本が深く反省し心から謝罪したいのならば、中国には弔える場所が多くある。
当然ながら、ホワイトハウスの新たな主に事前に会いに行ったことも、真珠湾で大げさに献花してみせたのも、日米の和解を演じ、日米同盟を強化するためだ。TPPが崩壊に近づき、トランプ氏が米国と同盟国の関係を見直すと表明するなか、安倍首相は米国社会に対して日米同盟の重要性と堅固さを訴えようと急ぎ、長年苦しみながら維持してきた日米関係の衝撃を回避しようとしている。
安倍政権はなぜあの手この手で米国を引きずり込もうとするのだろうか。中国社会科学院日本研究所対外関係室長の呂耀東氏は「日本は国際社会から承認を得て、アジア太平洋を主導する発言権を手にし、政治大国になろうとしている。そのすべてに、米国の協力が必要だ。日本は日米同盟を利用し、政治の野心を実現するしかない」と分析した。
改憲と軍拡、右傾化を続ける
2012年に再任してから、安倍首相は右寄りの歩みを止めていない。今年8月15日の日本の敗戦71周年、靖国神社の春季・秋季例大祭で、安倍首相は靖国神社に玉串料を奉納した。直接の参拝は避けたが、戦争を真剣に反省し心から謝罪しない態度を貫いている。
同時に安倍政権は安保法を強行裁決し、防衛費の増額を続け、武器を調達し、軍需産業と武器輸出を拡大している。安倍首相はさらに9月26日の国会演説で、珍しくも自衛隊、警察、海上保安庁に敬意を表するよう呼びかけた。
今年の参院選後、改憲を支持する議員が3分の2以上に達し、憲法改正案が可決される可能性が高くなっている。これは日本が戦後70年に渡り守ってきた、専守防衛の政策に徹底的に変化が生じることを意味している。
南中国海問題で、日本は当事国でないにも関わらず、南中国海周辺諸国と中国の衝突を煽り、中国に圧力をかけようとしている。防衛省が8月に発表した2016年度の防衛白書で、安倍政権は南中国海・東中国海問題を悪意をもって誇張し、「中国脅威論」を喧伝した。これは国民の改憲への支持を集め、日本を「戦後レジーム」から脱却させるためだ。
安倍政権の今年の内政と外交の主な特徴をまとめると、中国対抗の傾向が明らかだ。日本国内の右翼勢力の拡大も、無視できない事実だ。この現実は、世界各国から警戒されるべきだ。
中日関係は「後退しないためには前進するのみ」
歴史などの問題において日本が繰り返している誤った行動は、中日関係を低迷させ続けている。さらに安倍首相が、等級や体系といった意識の色濃い旧態依然の国際秩序観を奉じ、中国との対抗に力を注いでいることは、中日関係の絶え間ない不一致を生み出している。
中日両国は、「一衣帯水」と形容される隣国同士であり、アジア太平洋地域において大きな影響力を誇る大国でもある。両国関係の低迷は、中日双方に不利に働くだけでなく、アジア太平洋地域の平和と発展にも負の影響を及ぼす。
G20杭州サミットに出席した安倍首相は、さまざまな手を尽くし、サミットの会期の終盤に習近平国家主席との会合を実現した。習近平主席は、安倍首相と交わした「短い会談」で、「両国関係は現在、数々の難題を乗り越えながら、後退しないためには前進するのみという要となる段階にある。双方は、責任感と危機意識を高め、両国関係のポジティブな面を拡大し、ネガティブな面は抑制するよう努め、両国関係の着実な改善を確保する必要がある」と指摘した。この言葉は、中日関係のさらなる改善と発展に方向を指し示している。
グローバル化時代の発展の潮流を前に、冷戦時代の考え方は捨て去り、米国だけに追随し続けるのをやめ、中国やインド、ブラジル、南アフリカなどの国々の利益や関心を十分に考慮し、イデオロギーで線を引くのはやめ、分け隔てのない誠意ある姿勢でアジア太平洋地域のすべての国と手をつなぎ、グローバル化のもたらす試練に共同で対応することこそ、安倍首相とその政権が隣国と国際社会の信頼を勝ち取り、日本を本当の意味での政治大国とする正しい道である。
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