昨年以来、反グローバル化勢力が勢いを増し、国際社会では経済グローバル化の不可逆性を疑う声も挙がっている。実際には、グローバル化は強硬に推し進めることも、遮ることもできず、改善があるのみだ。(文:趙竜躍・広東外国語外貿大学教授、国際治理創新研究院院長。人民日報海外版コラム「望海楼」掲載)
現在のグローバル化は非均衡的発展のグローバル化だ。世界経済の成長を促進した一方で、世界に深刻な不均衡ももたらした。まず発展の不均衡と利益配分の不均衡であり、これは国家間の不均衡、国家内部の地域、産業、コミュニティー間の不均衡を含む。次に資源・環境消費の不均衡。さらに深刻なのが制度・規則の不均衡だ。長年来、国際規則は主に欧米に主導され、操られてきた。まず体現するのは欧米先進国の利益と需要だ。こうした規則は発展途上国の実情を考慮しないだけでなく、後発組としての強みを持つ途上国を制約するために用いられるものもある。
世界金融危機の発生以来、国際社会は経済回復・発展だけでなく、ガバナンス・メカニズムと国際規則の再編、革新も必要としている。現在われわれが研究する必要があるのは、いかに国際規則を再構築・革新し、国際ガバナンス・メカニズムを整備し、グローバル化の弊害を克服し、より均衡的、包摂的、公正に発展する新たな経済のグローバル化を推進するかだ。
新たな経済のグローバル化は中国のリードを求めている。G20杭州サミットの歴史的意義は、国際ガバナンスの原則と方向を定め、中国がリードする新たな経済グローバル化の新時代を開いたことにある。新たな経済グローバル化に対する中国のリーダーシップは主に次の点に現われている。
第1に、国際規則再構築のリードだ。非均衡的発展のグローバル化は2つの段階を経てきた。19世紀以前のグローバル化は第1段階であり、主に技術が推進した。現在までのグローバル化は第2段階であり、主に技術と資本が推進した。中国が提唱し、推進する新たなグローバル化は主に技術、資本、規則が推進するものだ。
第2に、「一帯一路」(the belt and road)のリードだ。「一帯一路」の提唱する共に協議、共に建設、共有、コネクティビティ、協力・ウィンウィンは新たなグローバル化を推進する重要な理念であり道筋だ。
第3に、科学技術革新のリードだ。中国は世界の科学技術発展の方向の研究に努力し、ハイテク分野の基準と規則の制定面での役割を日増しに拡大している。海外人材の招致倍増計画を実施し、外国の専門家の中国での仕事と起業への支援を一層拡大している。
第4に、国際投資強化のリードだ。中国は対外投資への国際的影響力を日増しに高めている。2015年の中国の対外直接投資(金融除く)はすでに1200億ドルに達し、対外直接投資の既存量は初めて1兆ドルの大台を突破した。
第5に、国内市場開放のリードだ。中国経済の構造調整と成長方式の転換は世界の経済と貿易に重大な影響を与える。中国は世界最大の製品輸出国であるのみならず、世界最大の製品輸入国の1つでもあり、年間の製品・サービス輸入は3兆ドルに迫り、新たな経済グローバル化のために広大な市場を提供している。
最後に、グローバル人材配置のリードだ。新たなグローバル化は国際組織、地域組織、グローバル・ガバナンス・メカニズム及びプラットフォームなどの分野で静かに始動している。中国の国情を熟知し、国際的視野、専門的知識を備えたハイレベルの人材を速やかに抜擢し、送り込み、こうした組織での改革と管理に参加させて初めて、中国のリードする新たな経済グローバル化の政策主張と発展理念を真に実行に移し、具体的成果を得ることができる。(編集NA)
「人民網日本語版」2017年1月9日
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