中日韓自由貿易協定(FTA)交渉の第11回交渉会合が今月11日、北京で行われ、中国商務部(省)の王受文・副部長、日本外務省の片上慶一外務審議官、韓国産業通商資源部の李相珍(イ・サンジン)FTA交渉官が、それぞれの主席代表として出席した。国際商報が報じた。
今回の会合は昨年10月29日に開催された中日韓経済貿易大臣会合以来の交渉の場。交渉会合は昨年6月以来約7ヶ月ぶり(第10回は昨年6月なので約7カ月ぶりかと思われます)で、今回は物品貿易、サービス貿易、投資などの分野について議論が行われた。
共に繁栄する道模索
2012年11月、カンボジアにおいて,中日韓経済貿易大臣会合が開催され、中日韓自由貿易協定(FTA)の交渉開始が宣言され、今回で11回目となった。今回の会合では、関税や原産地の規定、物品貿易の方針、サービス貿易の自由化などの問題のほか、詳しい実行プランなどをめぐって、集中的な議論が行われた。また、金融や通信などの意見交換も行われた。
現在、3国の国内総生産(GDP)は合計16兆ドル(1ドルは約115.0円)を超え、世界の20%以上を占めるほか、国民総生産(GNP)は世界の21.9%、外貨準備高は世界の47%、対外貿易総額・対外投資総額は世界の20%を、それぞれ占めている。中日韓自由貿易区が形成されれば、人口15億人以上、経済規模15兆ドルの大市場となり、それを基礎に東アジア地域全体を自由貿易区とする流れを促進し、世界の貿易自由化の構図に影響を与えることになる。
現在、中国は、日本と韓国にとって最大の貿易パートナーで、中国にとっても、日本と韓国は、2番目、3番目に大きな貿易パートナーとなっている。「中日韓貿易発展指数報告」によると、これら3国は各分野において、17の大臣級会議やさまざまな交流、対話のメカニズムを含む、連携メカニズムを構築している。そして、貿易の自由化を促進する補充的ルートと見なして自由貿易交渉に積極的に参加している。
業界関係者は、「中日韓は世界の産業チェーンにおいて密接な連携を保ち、中日韓自由貿易区の構築は、3国が経済貿易において連携を実際に必要としていることを示しており、3国の産業が互いに補い合う関係を十分に発揮する助けとなる」との見方を示す。中日韓が1日も早く自由貿易協定で合意に達することができれば、3国の貿易の成長が促進されるだけでなく、3国に大きな投資のチャンスや経済的利益がもたらされることになる。
課題克服し交渉加速へ
韓国の李相珍・交渉官は会合で、「3国の連携のポテンシャルは巨大で、自由貿易区の構築は、世界経済の回復や東アジア地域の団結の助けとなる。しかし、それに向けた交渉の道のりはまだ長い」と指摘した。
今回の会合は、昨年6月に韓国ソウルで第10回交渉会合首席代表会合が行われて以降、約7ヶ月ぶりで、開催のペースが落ちている。中国商務部研究院地域経済協力センターのセンター長を務める、西アジア・アフリカ所の張建平・所長は、「現在、3国間の地政学的要素、安全問題、『環太平洋経済連携協定』(TPP)、『東アジア地域包括的経済連携』(RCEP)など、大型自由貿易区をめぐる交渉はさまざまな壁に直面している。そのため、会合の進捗にも影響が出ている」と分析している。
ただ、3国が現在、自由貿易区構築が非常に重要であることを十分認識しているのは積極的な点と言える。会合では、3国とも中日韓自由貿易区を構築すれば、3国の産業が互いに補い合う関係を十分に発揮するサポートとなり、3国の貿易・投資のポテンシャルを発掘、向上させ、地域のバリュー・チェーンの融合を一層促進するとの見方を示した。それらは3国全体の利益とマッチしており、それぞれの繁栄と発展に寄与する。
また、3国の首脳も自由貿易区をめぐる交渉を積極的に進めている。例えば、15年11月、第6回サミットで3ヶ国首脳会談は再開され、会談定例化や網羅的で高水準、かつ互いにメリットのある中日韓自由貿易協定交渉加速化などを掲げた「共同宣言」を採択した。また、16年10月に開催された中日韓経済貿易大臣会合でも交渉を加速させ、自由貿易区独特の価値を追求していくことで一致した。(編集KN)
「人民網日本語版」2016年1月13日
|