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「中国のアジア太平洋安全協力政策」白書 専門家の解説

 

アジア太平洋地域は世界の60%の人口と60%の経済規模を擁している。世界戦略の重心であり、冷戦の痕跡が多く残り、安全上のリスクが比較的多い地域でもある。不穏な状況が起伏する中、いかにして安全協力を強化するかが近年アジア太平洋諸国が力を入れて検討している問題だ。中国政府は11日に「中国のアジア太平洋安全協力政策」白書を発表して、中国の理念、中国の主張、中国の案を明確に示した。アジア太平洋さらには国際安全協力に計り知れない影響を与えるのは確実だ。(文:趙小卓・軍事科学院中美防務関係研究センター長。中国軍網掲載)

■制度整備を革新し、多層的、複合型、多様な地域安全構造を構築

現在、アジア太平洋地域には地域全体をカバーする多国間安全体制はなく、主に役割を担っているのは準地域安全体制だ。例えば、ASEAN主導の安全協力体制、上海協力機構、アジア信頼醸成措置会議、米国主導の二国間軍事同盟などだ。このうち、軍事同盟には明らかな冷戦の痕跡があり、排他性と第三国を念頭に置くという特徴があり、同盟国の利益を守ると同時に、人為的にアジア太平洋地域に分裂をもたらしている。

白書はパートナーシップの構築を推進し、「対立ではなく対話、同盟ではなくパートナー」という新たな道を歩み、未来志向で地域の実情に合い、各国の必要性を満たす安全構造を構築する方針を打ち出した。目標面では、この構造は多層的で複合型、多様なものであり、現有の制度の整備と高度化だ。参加国の面では、この構造は域内諸国の共同事業であり、各国が積極的に参加し、できる限りの貢献をすることを必要としている。構築の道筋面では、この構造は共通認識を基礎に、非伝統的安全協力を重点とし、容易なものから難しいものへと進め、最初は浅く、次第に深めるものだ。また、将来の地域安全構造は地域経済メカニズムと協調的に発展し、統合的に考え、同時に推し進め、相互促進するものだ。

■方式と道筋を革新し、溝と摩擦を適切に処理

アジア太平洋地域は紛争問題が多く、冷戦の残した問題もあれば、新たな問題もある。朝鮮半島核問題は北東アジア地域の平和と安定に影響を与え、国際的な核不拡散体制に打撃を与え、大国間の緊張関係を激化している。米国は冷戦式の軍事同盟を行い、世界と地域のミサイル防衛体制を構築しており、戦略的安定と相互信頼の構築にマイナスであり、包摂的な世界及び地域の安全構造の構築にもマイナスだ。アフガニスタンは戦乱、動揺と貧困を経験し尽くしており、国際安全支援部隊の撤退後、いかにして安全と安定を維持するかという問題が顕著だ。アジア太平洋のテロ対策情勢には複雑で深い変化が生じており、テロが頻発している。特に国際テロ組織の浸透と国外のテロリストが戻ってくる問題が日増しに突出している。アジア太平洋の海洋安全は全体的に安定を維持しているが、領土・島・礁をめぐる紛争が関係国を長年悩ませており、非伝統的な海洋の安全上の脅威が増加傾向にある。

白書は、域内国は尊重し合い、小異を残して大同につき、平和的に共存する伝統を堅持し、直接の交渉と協議によって問題を適切に処理し、平和的に解決するべきであり、古くからの問題が地域の発展と協力を損ない、国家間の相互信頼を破壊することがあってはならないと指摘した。領土・海洋権益をめぐる争いについては、歴史の事実の尊重を基礎に、直接関係する主権国間の対話と交渉によって平和的解決を図るべきだとした。問題が解決されるまで、各国は対話を繰り広げ、情勢をしっかりと管理し、摩擦の激化を防ぐべきだとした。こうした措置と主張は現実に立脚するとともに、長期に着眼しており、アジア太平洋の安全問題の根本的解決への道を示した。(編集NA)

 

「人民網日本語版」2017年1月16日

 

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