「私たちは雇用を、国境を、富を、夢を取り戻す」日本国民にとって、ドナルド・トランプ米大統領の20日の就任演説におけるこのフレーズは、真新しくもないだろう。日本の安倍晋三首相が絶えず繰り返している「日本を取り戻す」というスローガンにやや似ているからだ。
残念ながらトランプ氏の「米国第一」という旗印は、安倍首相の「日本を取り戻す」道の最大の難関になりそうだ。
【通商政策の調整】
トランプ氏は20日にホワイトハウスのウェブサイトで、環太平洋経済連携協定(TPP)離脱を、経済政策目標とした。日本は同日、TPP締結の国内手続きを完了した。
22日付毎日新聞によると、日本政府はこれまでの方針を維持しようとしているが、トランプ氏が見解を覆す可能性は低く、方針変更を余儀なくされている。
日本政府はEUとの経済連携協定(EPA)、地域包括的経済連携(RCEP)の交渉を加速させようとしている。米国が孤立感を募らせれば、TPPに戻る余地が生じるとも考えている。しかしEPAとRCEPの交渉も難航している。
日本では、米国が日本に二国間の自由貿易交渉を提案すると見られている。しかし日本はこれに応じない考えだ。外務省幹部は「農産物の受け入れなどでTPP以上の妥協を迫られるのが確実」と話す。多国間・二国間のいずれの交渉も停滞すれば、日本の通商政策は迷走の度を深めそうだ。
【同盟関係に問題も】
トランプ氏は大統領選の出馬から現在まで、自ら「日米同盟」という言葉を口にしていない。日本にとって、トランプ氏の「米国第一」主義が、外交・安保面にいかに反映されるかは不透明だ。
トランプ氏は日本に在日米軍の経費負担を拡大させると何度もほのめかしている。日本政府の関係者は、トランプ氏の就任演説を分析した上で「米軍が世界の平和・安定任務に過度な負担を強いられていることへの不満を再びほのめかした」と結論づけた。演説では、日本が注目するアジア太平洋地域がほとんど取り上げられなかった。
22日付日本経済新聞は、日本の国家安全保障の軸である日米同盟の抑止力により、日本は釣魚島問題をめぐり中国と対峙することができるが、堅固な日米同盟を維持できなければ、日本は次の外交を展開しがたいとした。
日本経済新聞は、日米同盟を維持するため、日本は負担を拡大する可能性があると指摘した。
【2月の首脳会談】
日本の岸田文雄外相は22日、2月上旬から中旬の日米首脳会談の実現を目指すと述べた。すでに麻生太郎財務相が安倍氏と共に訪米し、トランプ氏と会談することが決まっている。両氏はトランプ氏に、日米同盟と自由貿易の重要性を強調することになる。しかし共同通信は、トランプ氏が日本側の声に配慮するとは限らないと推測した。
安倍氏はトランプ氏の就任前にワシントンを訪問し、会談していた。日本政府は今月27日に日米首脳会談を計画していたが、トランプ氏の日程により2月に延期された。日本の外交官は「トランプ氏にとって日本は後回しだ、としか言いようがない」とため息をついた。
「中国網日本語版(チャイナネット)」2017年1月23日
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