米国現地時間の1月20日、トランプ新大統領が首都ワシントンで大統領就任を宣言した。就任式におけるその簡潔な演説は米国の国内問題にウェイトを置いた内容で、対外政策については軽く触れるにとどめた。このことから、トランプ新政権が中米関係を含めた世界の大国との外交関係をどのように処理していくのかという点について世界各国で懸念が生じている。(文:華益声・国際問題専門家。人民日報海外版コラム「望海楼」掲載)
トランプ大統領は当選から就任までの期間中に、米国は対中貿易の赤字で損失を被っていると発言し、中国が意図的に人民元為替レートを過小評価していることが対米輸出の拡大につながっていると非難した。さらには「1つの中国」原則を切り札に中国の貿易や為替レートについて見直しを行うというマイナス的な発言をしたことがあった。
上述の発言はトランプ大統領が米国国内における支持率を得ようする焦りを反映している。トランプ大統領はその選挙期間中に幾度となく雇用機会を米国に取り戻すことに触れ、米国の製造業における雇用ポストの増加を打ち出していた。さらに雇用問題は対中貿易における貿易赤字が原因であるとしていることから、経済貿易の面で中国に圧力をかけることは、トランプ大統領がその選挙公約を果たし、米国の発展促進に対する決意を表明する手段の一つとなるのかもしれない。また、米国国内でも対中強硬論が相次いでおり、トランプ大統領の発言もこれらの勢力に迎合し、支持を得るためのものという見方もある。
しかしながらこうした選択は好ましくない結果をもたらすだろう。まず中国の発展がもたらす重要なチャンスを見逃してしまう点が挙げられる。また中米関係に対する正しい認識の欠如は両国関係の政治的基盤を損なうことになりかねない。さらに中米関係は協力すれば互いにメリットがあり、争えばお互いが傷つくことになる点も挙げられる。そして最後に中国と米国という大国が国際事務において担うべき役割とその発揮すべき作用を考慮していないからだ。これらの問題は中米関係を悪化させ、世界平和や発展に悪い影響を及ぼす可能性もある。
こうした潜在的な脅威に対し、中国はすでにトランプ大統領とその新政権に下記のような明確な態度を示している。
1.正しい中米関係の位置づけを求めること。中米関係は国際的にも最も重要な二国関係の一つであると言える。最大の発展途上国と最大の先進国として、また世界の2大エコノミーとして、中国と米国は健全で安定した関係を維持することが両国の国民の共通の利益につながり、また国際社会からも広く期待されている点だ。
2.中米関係の方向性を把握すること。両国は相手国を「圧倒」しようとするのではなく、ウィンウィンまたはさらに多くの勝利を追い求めるべきだろう。そのため、中米両国は衝突や対立を回避し、互いに尊重し、協力してウィンウィンを得ることを原則に、二国間や地域、グローバルの局面における様々な分野において協力を推し進めていくべきだ。中国はトランプ新大統領就任が中米関係発展の新たな出発点となることを望んでいる。
3.中米の相違点を管理コントロールすること。トランプ新政権は中米両国には問題や相違点が存在するのは当然であり、相違点を管理コントロールし、問題を解決するルートを探すことこそが重要である点を認識すべきだろう。両国は建設的な方法で対話とコミュニケーションを行い、互いの意図を深く理解し、誤解や間違った判断を回避すべきだ。中米いずれも両国関係の健全で安定した発展という大局を損なうような行為をするべきではない。
今後の中米関係について、中国は両国の友好的な協力の維持に尽力する一方で、戦略的な力も保持し続けなければならない。中国はさらに改革を推し進め、発展を促し、総合的な国力の向上を図り続ける。そして中国の特色ある大国外交を積極的に推し進め、国際影響力と発言権を向上させていく。中国は国際環境の変化に適応する能力を有しており、その変化に対応できる自信を有している。さらに中国はトランプ新政権が中米関係の重要な原則をしっかりと心に留め、中国と向き合っていくことを希望している。(編集TG)
「人民網日本語版」2017年1月22日 |