先週金曜日、ドナルド・トランプ氏が米国の第45代大統領に就任した。トランプ大統領は同日の就任演説と「米国第一」の政策声明で、米国第一、米国振興を再三強調し、長い願望のリストを示した。今や米新政権の国家統治方策は中米関係に影響を与える最大の変数となっている。中米関係はどの道を選ぶのか、その確定性と不確定性はどこにあるのか?(人民日報海外版コラム「望海楼」掲載)
米国式「つっこみ」によってトランプ政権の幕は開いた。トランプ大統領は演説で夕暮れに沈む米国を描いた。工業は衰退し、軍事力は弱まり、国境はコントロールできず、インフラは荒廃し、他国を富ませて自国は貧しくなり、米国の富、力、自信が地平線の彼方に消えていったとした。このため、トランプ大統領は「米国人に対するこの殺戮は、今ここで終る」と呼びかけ、「今日から米国第一のみだ」と強調し、「保護主義こそが繁栄と富強をもたらす」とした。また「米国のものを買い、米国人を雇う」よう呼びかけた。トランプ大統領が「米国第一」によって「再び米国を偉大に」しようとしていることは明らかだ。
その後発表した政策声明で、トランプ大統領は外交、経済、貿易、国防、エネルギー問題に関する政策と立場を明らかにした。トランプ大統領は「力による平和を目指す」外交政策を遂行し、イスラム国など過激なテロ組織を打ち破ることを強調。環太平洋パートナーシップ協定(TPP)から離脱し、北米自由貿易協定(NAFTA)の再交渉をし、貿易協定に違反する国には「ノー」を突きつけるとした。軍を立て直し、海空軍事力を拡充し、軍事的優勢を維持し、サイバー司令部の防御・進攻能力を優先的に強化し、先進的ミサイル防衛システムを開発するとした。エネルギー開発を強化するとした。不法移民を取締り、国境での取締りを強化するとした。
8年前の同日、オバマ前大統領が金融危機の最中に行った就任宣誓が想起される。オバマ前大統領も同様に米国の落日を描いた:米国は危機の中にある――経済の傷痕は深く、人々はふるさとを失い、仕事を失い、景気は悪く、医療保険は高く、教育は失望させられるものであり、自信は損なわれている……これに対してオバマ前大統領は「変革」を誓った。
実はオバマ前大統領であれトランプ大統領であれ、こうした危急存亡の悲壮な雰囲気を公然と誇張する意図は、新政権の政策方針を支持するよう民衆を後押しすることにある。だが、もしこれが身勝手な保護主義に変わり、自らの問題を他国のせいにし、または矛盾を転嫁し、他国に言いがかりをつけ、力を誇示するのなら、国際関係にとって深刻な打撃となるのは必至だ。
中米の協力・ウィンウィンは米国が再び偉大になる助けとなる。異なる点は多くても、中米両スーパーエコノミーには似ている点がある。米国は再び偉大になろうとし、中国は中華民族の偉大な復興を実現しようとしている。両国は発展理念において実務的なうえ、共に発展が絶対優先事項であり、着実な行動が国を興すと考えている。習近平国家主席は中国の発展の成果に言及した際、これは中国国民が数十年間にわたり苦労を堪え忍び、血と汗を流した結果であり、発展を望むのなら自らが懸命に、着実に働かなければならず、他国の施しに頼ってはならないと特に指摘した。トランプ大統領も演説で、言葉だけであってはならず、「行動を起こす時が来た」と強調した。
トランプ大統領は就任早々意気込んでおり、米国第一の「新世界」を迎えると公言している。その約束をどう実現するのか、人々は見守っている。だが世界は大きく、米国が世界を離れて単独で生きるのは不可能だ。対外関係をどう処理するかは、トランプ大統領にとって避けられない関門だ。中米は傷つけ合うことを避けるべきだ。中国は中米関係がソフトランディングを果たし、新たな出発点において新たな発展を得ることを望んでいる。(編集NA)
「人民網日本語版」2017年1月24日
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