当局による厳しい規制が敷かれた中国のインターネット金融。 今年はどうなるであろうか。2017年のネット金融業界の見通しについて、次の5つにまとめてみた。
(1)当局による厳しい規制のもと、コンプライアンスの徹底を図ることが業界で定着化し、それが先発者優位の確立につながるとみられる。
2016年がネット金融に対する規制元年だったとすれば、今年2017年は具体的な規制を実施に移す年であり、各種規制や政策の過渡期、改善期として、業界全体が再編・淘汰の波に洗われることになる。各種規則に則って如何に改善を進めるかが、業界の先頭に立つカギとなるであろう。
(2)独占的状態からは遠いものの、市場集中度が高まり、「マタイ効果」が顕著になるとみられる。
当局による規制が強まるなか、2017年は改善に向けた過渡期を経て、具体的に実施に移す段階に入るとみられる。一部のプラットフォームは自ら市場から撤退するか、経営モデルの転換を迫られるであろう。また、企業間競争の熾烈化に伴い、プラットフォームの閉鎖・倒産も相次ぐであろう。
データをみると、2016年11月末時点で、取引額ランキング上位100社を合わせた取引額は業界全体の75%を占め、さらに上位200社の取引額は全体の85%、上位300社は全体の90%を占めたことが分かる。
こうした業界の市場集中度や動向からみて、P2P(インターネット上で個人間の融資を仲介するソーシャルレンディング)は独占的ないし寡占的状態からは遠いものの、市場集中度が高まり、強者はさらに強くなるという「マタイ効果」が顕著になるとみられる。こうした傾向は2017年に一段と強まるであろう。
(3)プラットフォームの90%が閉鎖に追い込まれ、業界内でプラットフォーム同士の買収合併が相次ぐとみられる。
中国銀行業監督管理委員会(銀監会)と工業情報化部(工信部)、工商行政管理局は2016年11月28日、共同で『インターネット貸借情報仲介登録管理ガイド』を発表し、これ以前に開設されたP2Pプラットフォームに対し、地方の金融当局による分類に基づいて再度登録申請を行うよう指示した。
一方、データによると、現在までに登録されたプラットフォームは全体の1%にも満たない状態だという。このことから、年内に90%以上のプラットフォームが閉鎖・淘汰に追い込まれるほか、業界内でプラットフォーム同士の買収合併が相次ぐであろう。
(4)ネット金融業界全体が経営モデルの転換期を迎えるとみられる。
2017年は業界全体でモデル転換の動きが顕著になるとみられるが、特に当局による規制が強まるなか、大半のプラットフォームはこうした規則に則った改善を行うだけの力が伴わず、経営モデルの転換を図らざる得なくなるであろう。
(5)IT技術を駆使した新金融サービス「フィンテック」が大きく成長するとみられる。
2017年は当局による規制が強まり、企業間の競争が熾烈化するなか、プラットフォーム各社は新たな成長モデルを模索せざるを得なくなるであろう。独自の強みを活かし、競争力を強化する必要がある。ブロックチェーン(分散型台帳技術)、ビッグデータのリスク管理や信用調査などに注目が集まっていることからも、IT技術の成長がネット金融業界の今後の成長のカギとなるであろう。(作者:91投資•91衆創空間•91金融創業者兼董事長兼CEOの許沢瑋氏)
「中国網日本語版(チャイナネット)」2017年2月17日 |