毎朝の通勤ラッシュを迎える頃、湖北省荆州沙市区のあるバス停に、簡素な木製のプラカードを掲げた一人の老人が現れ、サラリーマンや学生の通勤通学が少しでも楽になるよう、高齢者たちに「時差外出」を呼びかけている。楚天都市報が伝えた。
プラカードを掲げていた老人は、汪長栄さんといい、沙市区章華台団地に住んでいる。8日、沙市第六中学の向かい側にあるバス停は、午前9時前から、すでに朝の通勤ラッシュが始まっていた。汪さんは、赤いプラカードを掲げ、バス停に立っていた。プラカードには、「高齢者のみなさん、出勤・通学の人たちは遅刻厳禁です。時差外出を心がけましょう」という呼びかけが三行で書かれていた。
汪さんは、「プラカードを掲げるきっかけとなったのは、微信(Wechat)だった。11月24日、ある人が、『章華台住民サービス』の微信グループに、あるバス運転手の投稿を転送した。その投稿は、『今日は急に寒くなった!まだ夜が明けておらず、寒風が吹き荒れる中、制服を着た学生が停留所でバスを待っている。私が運転しているバスは、朝市で野菜を買った老人でいっぱいで、学生が乗り込む余地がなかった。私は、その学生を寒風の中に置いてきぼりにせざるを得なかった』」という内容だった。
そこで、この運転手は、「無料で乗車する高齢者の方々は、朝のラッシュ時にサラリーマンや学生がバスに乗車できるよう、時差外出をするよう心掛けてほしい」と人々に呼びかけた。
この微信の投稿に、汪さんの心は大きく揺さぶられた。2人の孫の面倒を見ている彼は、学生の通勤がとても大変だということを理解していた。そこで彼は、自分も何か行動をおこさなければ、と思い立った。
「プラカードおじいちゃん」である汪さんは、たちまち、荊州の微信ソーシャル機能「モーメンツ(原語:朋友圏)」の「ネット有名人」になった。章華台団地で、汪さんは以前から「面倒見のよい人物」だったという。水道メーターをチェックする、水道料金を徴収する、住民の悩み事を聞くなど、汪さんは70歳を過ぎた今まで、団地住民へのサポートを一度も中断したことはないという。(編集KM)
「人民網日本語版」2016年12月12日