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最期まで患者を見捨てない 終末医療に携わる高齢の医師 四川省

 

「呉太安さん、これで220人目。この患者さんは昨夜、家族に看取られ静かに息を引き取る」。四川省の簡陽市人民病院のベテラン医師・周克明医師(80)は13日、また一人の農村の末期がん患者の最期を看取り、「ホスピス患者訪問指導リスト」にそう書き記した。周医師の書類保存用のロッカーには同様のリストが入った封筒が9個あり、亡くなった患者の記録が書き記されてある。四川日報が伝えた。

周医師は60年間もの間、医師としての信念を守り続け、今まで行った手術の回数は1万回を超え、数多くの人々を救ってきた。そして高齢となった現在も不治の病の患者を決して見捨てず、患者220人の最期を温かく看取ってきた。患者を死の淵から救うためにメスを握るだけでなく、四川省農村の末期がん患者の終末医療を率先して展開してきた周医師はその60年にも及ぶ医師生涯においてまさに生と死を分ける三途の川の「渡し船」のような役割を果たしてきた。

「命を救うことも簡単なことではないが、患者の最期を看取ることはもっと難しい。農村の人々は一生文句も言わず苦労し続けてきたのだから、最期は尊厳のある死を迎えるべきだ」と話す周医師は、患者の尊厳ある死を迎える手伝いをその仕事の一つとしてスケジュールに組み込んでいる。周医師の一週間は、月曜日と金曜日が問診、火曜日と木曜日は病室勤務、水曜日は農村に赴き、終末医療となっている。

数年前、周医師は養馬鎮の農村を視察に訪れ、そこで隙間風が入る室内で床に伏す痩せこけた一人の高齢者に出会った。その高齢者は布団を両手でつかみ、その端をぐっと噛み締め、苦しそうな声をあげながら、頭を壁に打ちつけ続けていた。そしてこれを見る彼の妻はぼろぼろ涙を流しながら「ガンで痛がって仕方がないんです」と言った。当時76歳だった周医師は、「たとえ患者の最期を看取ることになろうと、彼らに見放されたという思いを決してさせてはならない」と感じ、不治の病の患者を決して見捨てないという決心をしたのだという。

中小都市や農村において、終末医療という概念はほとんどない。2012年、周医師は四川省の衛生庁(現・四川省衛生計画出産委員会)に科学研究プロジェクト立ち上げを申請し、簡陽市の農村で末期がん患者の終末医療を展開した。これにより、簡陽市は全国に先駆けて農村で終末医療を展開した県級市となった。

一生を医師を続けるつもりの周医師は、献体協議書にサインしており、死後、その遺体は大学で教育・研究のために役立てられるという。

周医師は「体が動くかぎり、終末医療を続けるつもりだ。自分の最期を迎えたときもまだエネルギーに満ちあふれ、輝いているような頑強な性格をしている人もいるからだ」と語った。(編集YK)

 

「人民網日本語版」2016年12月16日

 

 

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