日本メディアの報道によると、安倍政権は自民党ナンバー2、有名な「中国通」の二階俊博氏を、5月に北京市で開かれる「一帯一路」国際協力サミットフォーラムに派遣することを検討中だ。さらに中国の指導者に安倍首相の親書を手渡す可能性がある。この動向は中日関係改善の動きと見なされている。
日本政府は一帯一路(シルクロード経済ベルト、21世紀海上シルクロード)についてほとんど論評していないが、民間ははやる気持ちを抑えきれず、各シンクタンクが相次いで報告書を発表している。習近平国家主席は今年1月、ダボスの世界経済フォーラムで、各国首脳の一帯一路国際協力サミットフォーラムへの参加を歓迎した。この「招待状」には、欧米や日本などの先進国首脳も含まれる。日本が誰を派遣するかは、安倍政権が自ら調整すべきことだ。
安倍首相が人員を派遣することには多くの理由がある。このほど地政学的リスクが大幅に拡大していること、それから中日関係改善への期待や試みである可能性もある。何はともあれ、日本は一帯一路がもたらす政治・経済・安全のチャンスを直視せざるを得ない。好機を逃してはならない、これは安倍政権が人員を派遣する根本的な動機だ。
安倍政権にとって、トランプ大統領の保護貿易主義は重圧だ。アベノミクスを開始してから4年間、日本企業は円安により対米輸出市場を再び拡大した。国際収支を見ると、日本の対米貿易黒字は700億ドル弱まで急増した。日本はさらに企業の投資、海外M&Aにより国際的な競争力、特に対米競争力を高めた。トランプ大統領の政策は、円相場の操作を直接やり玉にあげ、日本の既得権益に迫り、さらには海外市場と陣地を狭めようとしている。これは安倍政権が最も恐れている「新プラザ合意」だ。
安倍首相の政治の偶像とも言える中曽根康弘氏は1980年代、為替政策でレーガン大統領が主導する「プラザ合意」に敗れた。しかし国際政治では西側と保守連合を組み、冷戦終結を共に促し、重要な「レガシー」を蓄積した。安倍首相は何度もトランプ大統領に謁見しているが、地政学的にも、国際安全および貿易・投資についても安心感を手にしていない。日米首脳会談は、日本側が主導する「日米経済対話」を決定した。しかし中米首脳会談、「中米の全面的な経済対話」を目にし、日本はトランプ大統領の交渉の武器が強化されたことに、ようやく驚きをもって気づいたのだった。中米日の3カ国関係及び世界の秩序への対応で、安倍首相は「先手」を打ったことで渦に飲み込まれようとしている。中米の太平洋を跨ぐ構造、さらには中米ロの国際政治関係において、日本は自分の立ち位置を見失い始めている。
安倍首相の外交・安全ブレーンである谷内正太郎国家安全保障局長の定義によると、いわゆる外交とは「国益の追求」だ。それならば、いかにトランプ政権の「経済単独行動主義」とその強い保護貿易主義に対応し、経済の既得権益を守りきるかが、現時点における日本の外交にとって中心的な目標と言える。日本の民間シンクタンクがこのほど発表した一帯一路に関する報告書によると、いかに日本企業に一帯一路の発展の波に乗らせ、ビジネスチャンスを手にさせるべきかは、安倍政権が国益を守るための戦略的選択になる。専修大学の大橋英夫教授は「TPPと中国の一帯一路構想」と題した文章で、一帯一路はアジア太平洋、東アジアの各種協力枠組みの総合的な運用であり、第13次五カ年計画綱要と同じ流れをくむと指摘した。さらには中国共産党第18期中央委員会第3回全体会議の「改革の全面的な深化に関する決定」で示された基本方針を示しており、中国の「開放型経済新体制の構築の鍵」と呼べるというのだ。
21世紀の日本経済の発展にとって、中国経済はもはや不可欠となっている。日本経済は中国経済から離れ、独自運行することはできない。双方が目まぐるしく変化する国際構造に対処する協力方法を見つけ出せるかは、双方の長期的かつ戦略的な利益に関わってくる。二階氏の同フォーラム出席は、中日関係の発展を側面から反映すると言っても、過言ではなかろう。(筆者:劉軍紅 中国現代国際関係研究院研究員)
「中国網日本語版(チャイナネット)」 2017年4月27日
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