朴槿恵前大統領の罷免に伴い、韓国の大統領選が9日に行われた。事前に行われた世論調査の結果通り、「共に民主党」の文在寅候補の当選が確定された。文氏は選挙中、韓国の現行の政策と異なる政権運営の理念と計画を発表していたため、韓国の歴史の新たなページをめくる可能性がある。
文氏は革新派として知られ、政治の腐敗と財閥体制にメスを入れる人物と期待されている。またその外交方針も韓国の有権者の間で好評を博している。文氏は韓米同盟を維持すると同時に中国との関係を発展させ、南北関係の改善により朝鮮の核問題を解決することを主張している。
韓国は北東アジア、アジア太平洋の地政学的駆け引きにさらされているが、南北問題や各大国との関係を適切に処理することが極めて重要だ。韓国はこれまで米国のアジア太平洋戦略の最前線だった。韓国が繁栄を遂げられたのは、長期に渡りこの位置づけに縛られることなく、中国の緊密なパートナーになり、大国間で上手くバランスをとれたからだ。
半島の軍事的対立はなおも続いているが、これを爆発させないよう管理することは、韓国にとって決定的な意義を持つ。盧武鉉時代の太陽政策はその後中断されたが、全体的に半島情勢を沈静化させ、韓国の対北政策の新たな方針を切り拓いた。文氏はかつて盧氏の腹心で、太陽政策を再開する意向が有権者から支持された。盧氏の後を継いだ李明博氏は、韓国を保守主義に傾かせた。朴氏は調整を行ったが、すぐに180度の方針転換をし、李氏より極端なほどだった。
ミサイル迎撃システム「THAAD」の配備は、朴氏と韓国保守主義政府の最大の失敗と言わざるをえない。これは韓国に実際の安全をもたらさないばかりか、むしろ韓国にとって有利な北東アジアの地政学的構造を破壊し、中韓の友好協力の流れを瞬時にして変え、韓国を米国の対中戦略の駆け引きの駒にした。これは韓国の長期的な戦略的利益にまったく合致しない。
現在の世界では、国家間の競争が激化している。韓国の保守派は偽りの安全により、国家発展の戦略的資源を犠牲にし、同時に安全面で中国をパートナーから敵対国に変えた。その結果、国の歩む道が自ずと狭まっている。
これほど激しい戦略的駆け引きに耐えうる繁栄はない。韓国の保守派は戦略面で米国一辺倒になることで、自国に生じる利益を過小評価していた。甘い期待を抱き、中国に戦略的譲歩を迫る強硬な姿勢をとった。文氏はTHAAD配備に消極的な姿勢を維持しているが、韓国大統領となりTHAAD問題の解消に向け転機をもたらし、同問題により膠着している中韓関係に動力をもたらすことに期待したい。
韓国の保守派政府はTHAAD配備を強行推進し、「不可逆的な既成事実」にしようとしている。ところがどんなことであっても既成事実化は難しく、ましてやTHAAD配備という間違いならばなおさらだ。我々は北東アジア全体を安定させ、朝鮮の核問題の複雑化を防ぐため、また韓国自身の利益のために、文氏がTHAAD問題の処理で知恵と器の大きさを示すことに期待する。
中韓は今日の経済協力規模を形成するため、半島と大陸の古くから蓄積してきた「天の時、地の利、人の和」を動員したと言える。これは双方に大きな得点をもたらした。両国関係は昨年より悪化しているが、当初の最も重要な原因は韓国のTHAAD配備だ。文氏には中韓関係を正しい軌道に戻すという願いがあるが、この願いが実行に移されることに期待する人も多い。
中韓両国には利害をめぐる根本的な対立は存在しない。重要な障壁を取り除けば、両国民の相手を見つめる態度に、直ちに重大な改善が生じるはずだ。大統領選に勝利した文氏が、その鍵を握っていることは間違いない。
チャイナネットより2017年5月10日
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