英国メディアは、パキスタンとスリランカの港湾から東アフリカの高速鉄道、さらには中央アジアを通り抜ける天然ガス輸送管まで、中国が9000億米ドルの投資を計画する「一帯一路」構想は歴史上、単一国家が発起した最大規模の海外投資になると伝えた。
英『フィナンシャル・タイムズ』は5月9日にウェブサイトで、「世界を取り巻く“一帯一路”」というタイトルの記事を掲載し、中国の政策策定者が辺境地域の経済成長の振興に取り組んでおり、自国の3兆米ドルに上る外貨準備から、保有する米国債を上回る収益を得ようとしているとの見解を示した。
報道によると、同構想を研究したことがある中国駐在のEU外交官、チャールズ・パートン氏は「一帯一路」構想について、中国が国内企業--高速鉄道メーカーから電気通信企業まで--の経験蓄積と国際ブランド構築を手助けすることができると指摘し、「彼らは今後、中国企業に世界的な競争力を持たせ、技術管理などを学ばせるだろう」と話した。
2013年以降、「一帯一路」のラベルは、遠くニュージーランドや英国、さらには北極地方の一部プロジェクトまで広がっている。中国はすでに「一帯一路」周辺の65カ国をリストアップし、この国々で数百件に上る「一帯一路」が刻印されたプロジェクトを進める予定だ。なかでも、中国・新疆地域とパキスタンのグワダル港を結ぶ陸路街道や、中国側が11億米ドルを投じるスリランカ・コロンボでの「港湾都市」建造が中心的プロジェクトとなる。また、計画中の3000kmに上る中国・西南地域とシンガポールを結ぶ高速鉄道にはさらに多くの資金が投じられ、同時に資金調達と機関設立のブームが起こるだろう。
楽観的な人は、中国国内の数十年にわたるインフラ主導型成長の経験をベースに、「一帯一路」構想が豊富な成果を上げると予想する。「‘一帯一路’が進めているのは、中国が最も得意なこと--政府が支えるインフラプロジェクトだ」。オーストラリア国立大学のジェーン・ゴリー氏は、「私は、‘一帯一路’構想が成功すると思っている」と述べた。
アナリストは、「一帯一路」が中国の地政学上の「遠回りの一手」になると分析した。米国と日本がまだ「一帯一路」にリストアップされていないのは、軍事戦略研究科のエドワード・ルトワックが言った「経済地理学」--「ビジネス法則」の「ロジックの衝突」を遵守すること--を連想させる。「これは、重大で長期的な経済地理戦略として、グローバル経済の重心を変える可能性がある」とゴリー氏は補足した。
北京のコンサルティング機関、斉納百思の研究主管を務めるデイビッド・ケリー氏は、「一帯一路」が世界各地の企業に対し全て「開放」すると強調する中国政府も「一帯一路」プロジェクトにおける「中国の存在」を希薄化しており、これが西側の企業にチャンスをもたらし、中国とフランスが協力して英国で建設するヒンクリーポイント原子力発電プロジェクトも中国から「一帯一路」プロジェクトにリストアップされていると指摘した。英中貿易協会は発表した「一帯一路」に関するレポートで、「我々は、英国企業が実質的なチャンスをつかみ、中国のパートナーと第三国で協力を進めると考えている」ことを明らかにした。
「‘一帯一路’はすでに、中国が全世界--発展途上国に限らず--に提供するソリューションの一部とみなされている」とケリー氏は話している。
「中国網日本語版(チャイナネット)」2017年5月14日
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