現在位置: ニュース>政治
「一帯一路」で中日経済協力メカニズムの再構築を

 

米国のTPP撤退表明以降、中国参加のRCEPに注力するといくつかの国が表明していますが、日本はAIIBやRCEPなど、中国との経済連携の課題に対して消極的姿勢を崩していませんね。

瀬口 RCEPや日中韓FTAに消極的というのは誤解ではないでしょうか。日本政府は自由度の高い貿易協定を望んでいるため、RCEPや日中韓FTAの目指すべき目標についての考え方が日本と中国の間で合致していません。それが消極的態度に見えているということでしょう。

WTO発足後の世界自由貿易体制で最も大きな恩恵を受けてきたのは、中国だと思います。日本はWTOの恩恵を受けられなかったため、1970年代から90年代に至るまで、欧米から理不尽な貿易摩擦の圧力を受けて自由に輸出を行えず、欧米でのマーケットシェアを伸ばせないなどの問題が続いていました。しかし中国はWTOのおかげで、そういった問題からかなり解放されました。ですから、自由貿易の大切さは中国自身が一番実感しており、今後の自由貿易体制のさらなる強化を最も強く願う国のはずです。

自由貿易体制の構築などの建設的な話をする場として、「一帯一路」は良い「場」であるかと思います。日中国交正常化45周年の今年は、両国はそれぞれが先行きへの大きなビジョンを持ち、協力体制再構築へのチャレンジをする局面に来ていると思います。

「一帯一路」における中日両国の協力の可能性についてお聞かせください。

瀬口 「一帯一路」で中国の発展をうまく促せれば、日本にも大きな恩恵があるでしょう。中国が発展すれば日本も発展し、日本が発展すれば中国も発展するのが日中関係だと思うので、中国だけが発展し、日本が損失を受けたり停滞したりということはあり得ません。中国が発展への重要な土台にしようとしている「一帯一路」を、日本が強力にサポートすれば、結果的に日本の発展にもつながっていくと理解しています。ですから、早急に日中韓三カ国で一致協力して「一帯一路」を推進する体制を構築すべきと思います。

「一帯一路」は中国国外向けプロジェクトと考えられがちですが、私は中国国内も含まれると思っています。そうした考えから、私の提案は三つあります。まずは1~2%という低い成長率で、経済的に厳しい状態が続いている東北三省の経済活性化です。それと並行して、中国が苦しんでいる環境問題の改善と、庶民の悩みの種である食品安全問題の解決です。具体的には次のような方法が考えられます。

環境問題解決には、ハイブリッド車の環境保護車指定が非常に有効な政策になると考えています。ハイブリッド車を作れるのは日本のメーカーしかないので、日中の協力は不可欠です。中国政府がハイブリッド車を環境保護車に指定する条件として、東北三省の工場で生産されたものに限り環境保護車に指定すると規定すれば、工場は東北に集中します。仮に中国全土で年間100万台のハイブリッド車が売れれば、工場が集中する東北地域において数十万人の質の高い雇用が生まれますので、それは東北の経済振興にとって非常に大きなインパクトになるでしょう。東北三省は最も大気汚染がひどい北京や天津に近いため、そうした地域で販売する時には輸送上のメリットもあります。

長春での食品安全のプロジェクトは、国連と中国政府が推進しており、食品安全レベルの向上が目的です。多くの日本の一流企業がすでに協力していますが、中国政府がより強力にサポートすれば、より多くの日本企業が加わるでしょう。これによって対東北投資の増加が見込めます。さらに大気汚染、水質汚濁、土壌汚染などの環境を改善するために、東北3省が日本と同等の環境基準を導入すれば、日本の環境関連企業が進出し、中国国内で最も高いレベルの環境産業が東北に集積することになります。そうなれば東北地域は健康環境地区として最も安心して暮らせ、しかも安定的に雇用が創出される地区へと変貌します。

今年5月に「一帯一路」サミットが北京で行われる予定ですが、サミットの意義について見解をお聞かせください。

瀬口 重要な協力課題が全世界に向けて発表されますから、日中韓三カ国が「一帯一路」に協力というメッセージを出せればと思っています。三カ国の協力には、自由貿易体制の強化が当然重要なポイントになりますので、日中韓FTAの早期妥結、ハイレベル経済対話の早期再開も同時に出していけば、ダボス会議で習近平主席が主張した自由貿易の推進が本気だと世界は見るでしょう。「一帯一路」をより高度なものとして、自由貿易体制と連携していくならば、日中韓の連携を先に打ち出すほうが、より世界に伝わりやすいと思います。

 

 人民中国インターネット版  

 

   <<   1   2  

人民中国インタ-ネット版に掲載された記事・写真の無断転載を禁じます。 京ICP備14043293号
本社:中国北京西城区百万荘大街24号  TEL: (010)6831-3990  FAX: (010)6831-3850