中国の自動車の生産・販売は4月、いずれも減少傾向を示した。だが中国の自動車市場の未来に対する業界内の見方はまだ非常に楽観的だ。
5月15日の「2017中国自動車フォーラム」では、中国自動車工業協会の常務副会長の董揚氏が、「中国の自動車生産台数はまだ2倍近くに増え、年間5000万台規模に達する可能性がある。国内販売で4000万台、国外販売で1000万台だ」との大胆な予測を示した。この発言はすぐに、同日の自動車圏の最大の注目点となった。
昨年は、排気量1.6L以下の車両購置税(自動車取得税)の半減政策がまもなく終わるとの刺激の下、中国の自動車市場は再び13.7%の高度成長を迎え、生産・販売台数はそれぞれ2811万9千台と2802万8千台に達した。多くの人びとはこの実績から、今年の中国の自動車市場は3000万台の生産・販売規模を実現する見込みが高いと考えた。だが予想に反して、4カ月を過ぎただけの時点で、2ケタの高度成長はマイナス成長に転じた。中国自動車市場の急落で、多くの人びとは、未来に対する見通しを再び慎重なものへと切り替えていた。
こうした背景の下、董揚氏の5000万台という予想は、議論の的となった。海外で1000万台を販売するほか、董揚氏は、国内の自動車市場が4000万台の年間生産・販売規模に達するものと考えてる。この数字は、米国と日本、欧州の3地の自動車市場の年間生産・販売の総和を超えている。人びとは、中国の自動車市場が4000万台の規模に成長する余地はどこにあるのかと疑問を持った。
これまでよく言われて来たのは、中西部地区と広大な四線・五線都市が中国の自動車市場の未来の成長の主要な原動力となるという説だ。この説は、今考えればある程度説得力がある。1000人当たりの自動車保有台数を見ると、中国では2016年、140台にすぎない。米国のこの数字は800台、日本は600台にのぼる。中国の1000人当たりの自動車保有台数は米国や日本などの先進国のデータと大きな差があるだけでなく、マレーシアやメキシコなどの発展途上国と比べても2分の1に満たない。この指標から見ると、中国の自動車の発展の余地は確かに小さくない。
国務院発展研究センター・マクロ経済部副部長の張立群氏によると、現在8大都市で行われている自動車の購入制限は、自動車販売台数を200万台前後引き下げていると見られる。これは中国自動車市場の発展に大きく影響する要素となり、中国の自動車市場の1000人当たりの自動車保有台数が100台を超えてから大幅に下落する重要な原因となっている。
経済発展レベルが高くない中小都市では、自動車購入は制限を受けていないが、人気薄で、経済力に制限があることから、自動車販売台数は急速には伸びていない。ただ注目に値するのは、2009年に国家が自動車の下郷(農村への普及)政策を打ち出してから、中国の四線・五線都市の自動車消費需要はすでに高まり続けているということだ。コンサルタント会社のローランド・ベルガーの発表したデータによると、四線・五線都市はすでに、自動車市場シェアが成長している唯一の地区となり、その総量はすでに中国の自動車市場の販売台数全体の50%を占めている。この地域の成長の原動力が今後どれだけ継続し、まだどれほどの潜在力を掘り起こすことができるかはわからない。
これに比べると、自動車の海外輸出の成長の余地は期待できる。中国の自主ブランドの自動車の海外輸出台数は現在、300万台に満たず、1000万台という目標とくらべるとまだ大きな発展の潜在力がある。「一帯一路」(シルクロード経済ベルト、21世紀海上シルクロード)戦略の実施に伴い、多くの中国ブランドの自動車メーカーが現在、海外市場への配置を加速している。市場が開けば、未来の想像の余地は大きい。もちろんその前提は、中国の自動車ブランドの品質が海外市場に認められ、受け入れられるということだ。
この面では、ドイツの自動車産業の発展が好例となる。自動車市場の発展が成熟した国であるドイツでは、毎年の新車販売台数は350万台前後の横ばいとなっている。だが海外輸出台数はすでに400万台を超え、ドイツの自動車産業の規模を支えている。もし中国ブランドの自動車がドイツの自動車のように海外でどんどん売れれば、中国の自動車生産台数の限界は数倍に拡大され、ピークは5000万台にはとどまらなくなるだろう。
「中国網日本語版(チャイナネット)」2017年5月31日
|