香港紙「文匯報」の報道によると、香港が祖国に復帰し、大陸部住民の収入が大幅に増加したことなどから、香港を訪れて買い物する大陸部住民が大幅に増加し、香港の小売産業の発展と繁盛を後押しした。その後、大陸部で越境ECが盛んになったことや深セン市前海港に前海周大福グローバル商品ショッピングセンターが設立されたことから、大陸部観光客の香港での消費は大幅に減少し、香港の小売産業もホテル産業も大きな打撃を受けた。「中国新聞網」が伝えた。
香港の復帰後、大陸部住民は旅行や親族訪問や消費でますますたくさん香港を訪れるようになった。当時は両地域の為替レートが100香港ドル=107元(1元は約16.1円)で、富豪が香港でぜいたく品をたくさん買うのを除けば、一般の人々の消費はそれほど多くなかった。大陸部で2003年7月に「香港・澳門(マカオ)個人旅行」が解禁されたこと、人民元の持続的値上がり(07年に香港ドルの対元レートは1対1に下がり、15年にはさらに100香港ドル=80元になった)、個人所得の急速な上昇も加わり、香港での消費が年々増加していった。09年には深センが香港旅行に際しての「1ビザで複数回入境」措置を打ち出し、深センの戸籍をもつ約220万人は100元の査証代を支払えば、1年以内は何度でも香港に行けるようになり、深セン市民の香港買い物旅行消費が熱いブームになった。
深センの外貨両替ネットの方震・社長は大陸部観光客の香港での消費や買い物の様子を伝える生き証人だ。家族としょっちゅう香港に買い物に行くという方社長は、「最初の頃はジュエリーや腕時計を買っていたのが、その後は外国産粉ミルクを買うようになった。観光ショッピングを頻繁に行ったので、最近は香港に行ってもただ消費するだけではなく、香港の民俗文化を楽しむようになった。たとえば長州の島に行って搶包山を眺めたり、今年の春節(旧正月)には花車のパレードや花火を見た。最近は妻と双子の子どもを連れて香港ディズニーランドとオーシャンパークで遊び、香港の大通りや裏通りを歩き回り、香港式の牛雑(牛もつ煮込み)やエッグタルトなどを味わい、心ゆくまで楽しんだ。そのほか映画やコンサートで香港に行く機会も多い」という。
方社長とは異なり、深セン市布吉に住む江さんは毎年の香港訪問の回数はそれほど多くはなく、3~4回程度だという。一番最初は09年に「1ビザ複数回入境」が可能になった時で、夫と娘とディズニーランドへ遊びに行った。香港での「iPhone」(アイフォーン)の値段は深センよりも安いので、15年にまた出かけて行って娘の携帯電話を買った。ここ数年間は香港に行く目的は化粧品や薬を買うためが多い。「今はどちらかというと香港に生活用品を買いに行く。シャンプーとかボディソープとか歯磨き粉も買う。1回に使う金額は約1千香港ドルから2千香港ドルになる」という。
香港の交通やショッピング場面にかかる圧力を緩和するため、深セン市は15年に「1ビザで複数回入境」を「1ビザで1週間に1回入境」に改めた。これはある程度、「運び屋」のくい止めにつながったが、大勢の深セン市民の香港観光消費にも大きな影響が出て、観光客数が大幅に減少しただけでなく、香港の小売産業やホテル産業をはじめとする多くの産業にとっても打撃になった。(編集KS)
「人民網日本語版」2017年6月8日
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