2016年、中国共産党は引き続き反腐敗闘争を推し進め、党員の隊列の作風建設を強め、中国の改革事業が難関攻略段階に進入した際に性質が変わらず、原動力が衰えないことを確保してきた。世界経済の低迷、地域矛盾の激化の情勢に直面する中、中国は寛容な開放、協力・ウインウインの理念、対話を通じて紛争を解決する態度を堅持し、「中国の智恵」と「中国のプラン」を積極的に提供し、国際社会の建設的な共通認識の達成を促進し、世界の平和と発展に新たな希望をもたらしている。同時に、中国も自らの発展レベルを高め国際的影響力を高める面で、新たな状況を迎えている。
「新型大国関係」に前進
「新型大国関係」の構築は、中米両国が過去の経験を基盤とし、両国の国情と世界情勢を踏まえ、共に選択した戦略構想だ。新たなスタートを切るにあたり、中米の「新型大国関係」をどのように推進するか、どのように協力して世界平和と発展を促進するか、全世界が注視している。
「中米両国の『新型大国関係』を構築するには、正しい方向性を堅持し、一歩ずつ前進していく必要がある」。習近平国家主席は9月22日のシアトルでの演説でこのように指摘した。9月25日のオバマ大統領との会談では、中米関係の今後の発展に向け、6項目の重要な提案を行った。習主席の米国公式訪問期間中に、両国首脳は「新型大国関係」の構築に向け努力を続けることを確認、複数の重要項目についてコンセンサスに至り、中米の新たな大国関係を着実に推進していくことで合意した。
広大な太平洋には中米2つの大国を受け入れるに足る十分な空間がある。中米両国は、過去の争いとは異なる新たな道へ、大国間の調和や健全な競争、互恵協力に基づく新たな道へ踏み出そうとしている。中国の指導者は高所から大局を見通し、戦略的、長期的観点から中米両国の関係を捉え、「新型大国関係」の構築を提案する。
中米首脳は2013年6月、米カリフォルニア州のアネンバーグ旧邸で行った会談で、「新型大国関係」の構築に向け共に努力していくことで合意した。2014年11月には北京で、「新型大国関係」の構築を弛まず推進していくことを確認。6つの重点方針を基に関係構築を推進、衝突せず、対抗せず、相互に尊重し、協力的互恵関係を構築するという原則を徹底すると強調した。
習主席の今回の米国公式訪問は、中米の「新型大国関係」を一段と大きく発展させることが狙いだ。習主席は22日にワシントン州政府と米友好団体が開いた歓迎レセプションで演説を行い、中国の発展の方向性と中米の「新型大国関係」をどのように推進していくかについて、米国民にわかりやすく語った。オバマ大統領との会談では、中米関係の今後の発展に向け、6項目の重要な提案を行い、「新型大国関係」の構築に向け引き続き努力していくことを確認した。
中米両国の「新型大国関係」の構築は、非常に大きな意義がある。両国は現在、世界で最も重要な2大経済大国とされており、経済規模では世界全体の3分の1、人口では4分の1、貿易では5分の1を占める。両大国が衝突すれば、世界全体が受ける被害は計り知れず、互恵協力こそが世界の人々に幸福をもたらす。中米両国の新たな大国関係の構築は、大国の相互和平と人類の共同的発展に向けた新たな道を模索することであり、この取り組みは現在だけでなく豊かな未来にもつながるものだ。
中米両国の「新型大国関係」の構築には、両国の政治家と外交官の知恵と努力だけでなく、民衆の理解と支持が不可欠だ。両国の人々はみな偉大な人民であり、継続的な相互理解の促進を通じ、新たな大国関係構築に向けたコンセンサスを形成していくことができるに違いない。
「遠くを見るには、より高い見地から見渡す必要がある」中米関係は今まさに、新たな未来への重要な節目にある。新たな大国関係の構築に向けた基盤は固まり、進むべき方向は明らかになっている。両国は高所から遠くを見渡し、新たな大国関係の未来は希望に満ちている。
杭州サミットの成果を実践に
9月4日と5日の2日間、主要20カ国・地域(G20)杭州サミットは中国の主宰の下5項目の大きな成果を挙げた。G20のメンバー国は、世界経済の方向をはっきり指し示し、道筋を計画することを決意した。成長モデルを革新し、世界経済のために新たな原動力を注入することを決意した。グローバル経済・金融ガバナンスを改善し、世界経済のリスク対抗能力を高めることを決意した。国際貿易と投資という二大エンジンの働きを回復させ、開放型の世界経済を構築することを決意した。包摂的で連動する発展を推進させ、G20の協力の成果の恩恵を世界に波及させることを決意した。
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9月4日、第11回G20杭州サミットが杭州の国際博覧センターで開催され、G20メンバー国とゲスト国の首脳、関係国際機関の責任者が参加し、習近平主席が開幕のあいさつを行った(新華社) |
まさに習近平中国国家主席がサミット期間中に「われわれは20カ国・地域グループを行動する隊列にすべきで、空論の場にしてはならない」と強調した通りだ。現在、G20杭州サミットで得られた成果は着実に実施に移されている。
10月6日、第4次G20財務相・中央銀行総裁会議が米国のワシントンで開催された。楼継偉・中国財政部長(大臣に相当)と周小川・中国人民銀行(中央銀行)総裁は主宰者として、この会議ではG20杭州サミットの各項目の共通認識を的確に実行に移さなければならず、あらゆる政策ツールを使って成長を促進し、確固不動に構造改革を推進し、インフラ投資を拡大し、貿易の自由化プロセスを推し進めることを含むマクロ経済政策の協調を強化することを通じて、世界経済の安定した、持続可能な、バランスが取れた、包容力のある成長を実現することを強調した。
10月29日、第11次中日韓経済貿易部長(大臣)会合が東京で行われた。中国は3カ国の経済貿易の長期的発展に立脚し、「一帯一路(シルクロード経済ベルトと21世紀海上シルクロード)」「ユーラシア・イニシアチブ」の枠組みで第三国における国際生産能力協力の展開と新市場の共同開拓を行い、汎黄海経済技術交流会議などのメカニズム構築を強化し、3カ国の地方間での実務協力のより多い展開を支持することを提起し、日本と韓国もこれに積極的な反応を見せた。中日韓の経済貿易部長は共同声明の中で、中日韓は引き続きG20杭州サミットの成果を着実に実施に移し、3カ国の経済貿易協力の新たな分野を切り開くと述べた。
10月31日、36の国と国際機関のG20のコーディネーターが武漢市で行われた2016年G20サミット第5回コーディネーター会議に出席した。トルコのコーディネータースィニルリオール氏は、G20サミットでは一連の非常に具体的かつ綿密な方策が合意に達しており、今回のコーディネーター会議はこれらの方策を実行に移すよう推進すると述べた。国際労働機関(ILO)コーディネーター補佐のスティーブン・ケネス・パーシー氏は「G20会議で得られた成果の継続性を保つことは、今年年末の最も重要なことの一つだ」と語った。
もしG20杭州サミットが世界経済の衰勢の転換に処方箋を出すことができたとしたら、現在は薬を飲み、薬効を期待する時期である。この期間に、中国の役割には依然として世界の注目が集まっている。
中日関係推進に重要な一歩
中日関係について言えば、今年最大の出来事は両国首脳が9月にG20杭州サミット期間中に行った3度目の会談だ。
近年、中日両国には政治的な相互信頼が欠乏し、経済貿易総量は大幅に下落し、国民感情は引き続き低迷し、両国関係を複雑で錯綜した局面に陥れている。これらは、両国の友好的な付き合いを期待する双方の有識者を非常に心配させているだけでなく、東アジア地域の安定と発展に不確定要素をもたらしている。このため、習近平主席と日本の安倍晋三首相の今回の会談は外部からも注目された。
9月5日、習主席と安倍首相の会談を通じて、中日関係は「難しい局面を乗り越える、前進しなければ後退してしまう重要な段階にある」と位置付けられ、また両国関係改善への合意に達し、古い問題をしっかり管理し、新たな問題を防ぎ、障害物(3)を減らし、相互信頼の構築に努めるという、協力を展開するための指導的意見が提起された。
中日首脳の会談内容は、疑いもなく今後の中日関係の発展にはっきりとした方向を示し、原動力をもたらした。
9月21日、張高麗国務院副総理は北京で日本の経済界代表団と会見し次のように述べた。日本の経済界は一貫して中日友好協力を提唱・推進しており、中日関係の改善と発展、両国各分野の交流と協力の擁護者であり促進者であり、今後も引き続き努力されることを希望する。(中国と)互いに向き合って進み、優位性を相互補完し、協力・ウインウインし、両国の経済・貿易関係の深化と両国関係の改善と発展の推進により大きな貢献をされることを希望する。
同27日、第12回「東京-北京フォーラム」が東京で開催された。600人を上回る中日各界の有識者がG20杭州サミットでの中日首脳会談で得られた共通認識をめぐり、政治・外交、経済・貿易、メディア・文化、安全保障、民間交流などの分野で率直に交流し、現在の中日関係のさらなる改善のために新たな原動力を探し求め、両国が手を携えてアジアと世界の平和と発展に力を尽くすために新たな分野を探った。
11月1日、中国国際経済交流センターと日本経済団体連合会(経団連)が共同主催する第2回中日企業家および元政府高官対話が北京で行われた。中日双方は現在の中日経済情勢や両国経済関係の現状と展望について意見を交換し共同声明を発表し、さらなる対話と協力を強調し、「経済で友好を促す」という共通の願いを強調した。榊原定征経団連会長は、日中の間では素晴らしい理念を共有する基礎の上で、協力モデル自身に革新を行うべきだと述べた。
G20杭州サミットでの中日首脳会談の後で、両国に一連の建設的な交流活動が始まっており、そこから中日双方の友好人士、有識者が、2016年の中日関係が引き続き良い方向に向かって進んでいくように、両国関係が難しい局面を乗り越えることを推進するよう努力しているのを見ることができる。その過程では、双方が率直に信頼し合うことが発展の基礎であり、改革・革新が前進の原動力である。
「南海問題」に新たな成果
10月18日、ロドリゴ・ドゥテルテ新フィリピン大統領が北京に降り立ち、中国訪問を行った。今回の中国とフィリピンの首脳会談は国際社会の幅広い注目を集めた。というのは、「南海仲裁結果」が公表されてから危機に陥っていた「南海紛争」に転機が現れたからだ。
ドゥテルテ大統領は訪中期間に、習近平主席と突っ込んだ意思疎通を行った。習主席は「われわれは友好的な対話と協議を堅持している。一切の問題に関して率直・誠実に意見交換することができ、意見の食い違いをしっかりコントロールし、協力することを話し合い、すぐに意見が一致できないものは一時的に棚上げすることができる。両国の一般民衆がより多くの実際的な利益を得られるように双方は手を携えて共同発展することを堅持しなければならない」と述べた。ドゥテルテ大統領はこれに応じて「フィリピンと中国の悠久の友好は揺るぐことはない。中国の巨大な発展の成果は世界を敬服させるものだ。目下、フィリピンと中国の発展戦略は高度に合致しており、双方の協力は大きな発展の余地を有する。フィリピンは両国関係の積極的な発展、中国との協力強化に力を尽くしており、これは両国人民に幸福をもたらすものだ」と述べた。
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10月20日、人民大会堂東門外広場でドゥテルテ・フィリピン大統領の歓迎式典が行われ、その後人民大会堂で首脳会談が開催された(新華社) |
10月21日、中国-フィリピン両国は共同声明を発表したが、その中で双方は重ねて「平和的方法で領土と管轄権の紛争を解決する」と述べた。このほか、両国は、経済・貿易、投資、生産能力、農業、報道、品質検査、観光、麻薬撲滅、金融、海上警備、インフラ整備などの分野で13の二国間協力文書に調印した。ドゥテルテ大統領は、今回の会談は歴史的なものであり、両国関係を全面的に改善・発展させ、今回の訪問は必ず両国人民に幸福をもたらすと強調した。
3年の長きにわたった「南海紛争」は、中国とフィリピン両国首脳の意見交換の中で理性的な処理を得た。これはドゥテルテ・フィリピン大統領が自主外交を堅持した成果であり、中国が一貫して提唱してきた「平和的、対話的方法で国際問題を解決する」ことの実践でもある。同時に、国際社会に「南海問題」の当事国である中国とフィリピンが二国間外交を通じて適切に解決する能力を完全に有していることを知らしめた。
これについて、フィリピンの著名なシンクタンク、フィリピン外交関係委員会主席のホセ・ロムロ主席は「今回の訪問はわれわれに、フィリピンと中国の伝統的友好が古くから長く続いていること、両国の友好協力こそが正しい選択であることを自覚させた」と評価している。
BRICSは色あせない
9月4日、G20杭州サミット開幕前夜、中国、ブラジル、ロシア、インド、南アフリカで構成される新興経済諸国(BRICS)首脳が非公式会合を行った。世界経済が低迷する中で、「BRICSは色あせた(4)」との言論が沸き起こっている時期であり、今回の会合はとりわけ注目を集めた。 会合で習近平主席が述べた二つの言葉は、ここで再度取り上げる価値があるものだ。 まずは「BRICSは新興市場国と発展途上国の先導者であり、またG20の重要なメンバー国である」というものだ。再度BRICSの位置付けと役割を明確にし、またBRICSの未来に対する自信をはっきりと表したものでもある。よく知られているように、BRICSの総人口は世界人口の42・6%、経済総量(GDP)は世界の21%を占め、過去10年の世界の経済成長に対する寄与率は50%を上回っており、疑いもなく新興市場国と発展途上国の先導者である。 2008年に世界金融危機が起こると、世界経済には回復力が乏しく、BRICSの経済成長も総じて緩やかになり、発展は調整期に入っている。このような状況下で、習主席の言葉は、BRICSは色あせず、依然として世界の経済成長の重要なエンジンであり、新興市場国と発展途上国の重要な代表であることを世界に告げている。 習主席のこの論断には十分に現実的な根拠がある。BRICS各国はいずれも構造改革を進めており、経済成績には好転の気配が少なくない。中国を例にすると、今年上半期の経済成長率は6・7%前後で、世界経済に対する寄与率は25%を上回っている。 二つ目の言葉は「共にBRICSとG20という二つのプラットホームをしっかりと構築し、しっかりと擁護し、しっかりと発展させ、新興市場国と発展途上国が国際事務の中でより大きな役割を果たし、グローバル・ガバナンスの中でより主導的・有利な地位を占めるよう推進する」というものだ。これはBRICSがG20との間で緊密に協力し、互いに補完し合うことで良い結果を生み出すべきだという表明であり、平等、包摂などグローバル経済・金融ガバナンスの理念を体現している。こうしてこそ、BRICSの色はますます輝き、世界により多くの自信と希望をもたらすのだ。 10月16日、BRICS首脳による第8回の会合がインドのゴアで行われた。5カ国は「効率的かつ包摂的、共通した解決策を打ち出す」というテーマをめぐって、BRICSの協力、その他共に関心を持つ国際的地域的問題について、突っ込んだ意見交換を行い、幅広い合意を得た。習主席は、中国は各国と共に、手を携えてBRICSの発展の新たな青写真を描くことを望んでおり、BRICSの協力は世界の平和、安定、繁栄を促進すると信じていることを強調した。 1年のうちに、BRICS首脳は2度にわたって会合を行い、合意を得たことは、これまでにも例が少ない。そこから、中国は世界第2の経済体と世界最大の発展途上国として、新興市場の安定、世界経済の繁栄、協力する包摂的な国際経済秩序の構築の面で体現した責任感、積極性および注いだ努力が見える。
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