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「研学旅行」が親子旅の注目点に 市場規模1千億元超

 

新疆自治区に住む等等ちゃんのお母さんは、まだ夏休みにならないというのに大手旅行社のツアー商品をチェックし始めた。今年8歳の等等ちゃんは上海ディズニーランドに行ったことがあり、今年もまた行く予定という。ママいわく、「うちの子は『アナと雪の女王』が好き。景色なんか興味ない」のだそうだ。「経済日報」が伝えた。

ママは続ける。「娘には意義のある楽しみ方をしてほしい。(観光地を)あちこち走り回るだけの旅行はだめ。一番いいのはディズニーみたいな場所で、ここなら普段読んでいる本や見ているアニメの世界につながる。ミッキーマウスや白雪姫を見た時の様子を思い出すと、船に乗って海外に行った時よりもずっと喜んでいた」。

観光産業では、夏休みの親子旅は必勝のジャンルだ。これまでの親子旅商品は比較的均一で、動物園やビーチでの水遊びなどのほかは、有名大学などを見学するといったものばかりだった。ディズニーの人気が高いのは、子どもの興味に合う数少ないテーマパークだからだ。また観光市場をみると、各社が遊学、夏キャンプ、社会体験などの商品を打ち出しているが、いまだに主流にはなり得ていない。だが今年の夏休みは、こうした商品の特徴ををひっくるめたような学びの旅「研学旅行」が突然、親子旅のキーワードに浮上した。

変化が起きた直接の原因は1つの文書にある。2016年末、教育部(教育省)をはじめとする11部・委員会が共同で「小中高校生の研学旅行の推進に関する意見」を発表し。各学校に対し各地の実際の状況を踏まえ、学びの旅・研学旅行を学校の教学プランに組み込むよう提言するとともに、児童生徒が集まって研学旅行に参加した状況や成果を学校の総合的評価システムの重要な内容とするよう求めた。

業界関係者の多くはこの意見を「棚からぼた餅」と受け止め、少なくとも1億人の小中高校生が潜在的ターゲットとなる研学旅行市場に火をつけることになった。

体験型教育サービスを提供する北京世紀明徳教育科技有限公司の会長で、キャンプイベントのブランド「青青部落」の生みの親の王学輝さんもその一人だ。王さんは、「研学旅行市場の潜在力が一体どれくらいなのか見積もるのは難しい。遊学、研学、キャンプ、社会での総合体験などさまざまな要素があって正確に定義することができない。自分はリーディングカンパニーの市場集積度から逆に業界の規模を推測するやり方をとる。計算してみたところ、海外遊学の分野で筆頭の新東方教育科技集団(新東方国際遊学ブランドを運営)の年間売上高は4億元(1元は約16.3円)から5億元ほど。筆頭企業の市場シェアは大体1~3%になるという業界の規律を踏まえると、海外遊学市場の規模は200億元から300億元くらいになる。国内遊学のトップはうちで、年間売上高は4億元だから、国内遊学市場の規模は200億~300億元程度になり、海外と国内を合わせると400億元から600億元ほどの市場規模ということになる」と話す。

11部・委員会が発表した意見は産業の爆発的発展の外的要因であり。根本的原因は研学旅行に対する親たちのニーズにある。王さんは、「今の親は1980年代生まれ(80後)や90年代生まれ(90後)がほとんどで、教育に対する考え方がそれまでの世代と異なり、より開放的な心理状態にあり、テストや課外活動を通じて子どもの成長を実りあるものにしたいと考える」と指摘。旅行では景色を見たり観光地に行ったりするだけではもはや満足せず、たくさん学んで知識を得ることとあちこちを旅して視野と見聞を広めることを結びつけ、旅行を通じて子どもによりたくさんの収穫を得てほしいと考えるという。

王さんは、「内的要因と外的要因が1億元規模の市場の誕生を促した。この意見が発表されから、各種投資機関が次々に現れた。資本に深く接してみて、研学旅行の市場規模は1千億元を超えており、今後10年から20年の間は成長産業になると判断した」と話す。(編集KS)

 

「人民網日本語版」2017年6月22日

 

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