欧州中央銀行(ECB)はこのほど声明を出し、今年上半期に、ECBは公開の市場操作により5億ユーロ(1ユーロは約128.4円)相当の人民元を外貨準備として買い増ししたことを明らかにした。ECBが外貨準備に人民元を組み入れたのはこれが初めてだ。分析によると、ここ数年、人民元国際化の歩みが絶えず前進し、中国経済が好調な動きをみせるのにともない、世界の各中央銀行に対する人民元の吸引力がますます強くなっていった。
2016年10月からは、人民元は国際通貨基金(IMF)の特別引出権(SDR)を構成する通貨バスケットに組み入れられ、米ドル、ユーロ、日本円、英ポンドに次ぐ5種類目のバスケット通貨になった。ECBによれば、「人民元をECBの外貨準備に組み入れることから、ユーロ圏に対する中国の重要性がますます高まっていることがわかる」という。
欧州政策研究機構(CEPS)のマティアス・バス研究員は、「中国政府は世界2位のエコノミーとして、ここ数年は通貨・金融システムでの改革プロセスが絶えず進化し、中国経済もますます深くグローバル経済にとけ込んでいる。こうしたこともECBが中国経済や人民元国際化の具体的な現れとして評価している点だ」と話す。
同研究員は、「世界で最も主要な中央銀行として、ECBの動きは一定のモデル効果をもたらす。将来はより多くの金融機関が人民元を自己の資産配分の選択肢に選ぶようになると確信する。世界の人民元ニーズは徐々に増加していく」との見方を示す。
分析によると、中国は今や欧州連合(EU)にとって2番目の貿易パートナーであり、ECBが人民元を外貨準備に組み入れることを決定したのは現状を総合的に分析した結果だ。ここ数年、中国・欧州間の投資は全体として持続的増加傾向を示し、中国は初めてEUの純直接投資国になった。
ベルギーにあるシンクタンクのブリュッセル欧州世界経済研究所のシニア研究員は、「ECBが人民元を外貨準備通貨に組み入れる主な原因は、ここ数年、世界の発達したエコノミーが危機の泥沼に深く落ち込む一方、中国経済の発展ぶりが非常に目を引いていることにある。EUは、特にユーロ圏各国は、中国との経済貿易往来を強化したい考えだ」と指摘する。
人民網日本語版より2017年7月3日
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