広範な社会の議題に転向
今年のG20の3大議題の15のサブ議題のうち8つは、雇用、健康、女性の権利、デジタル化、テロ対策、移民対策、2030アジェンダ、汚職撲滅という社会的な議題となっている。残りの7つは事実上、より広範な社会的影響力を持つ。これには気候、エネルギー、アフリカのパートナーシップ、貿易、税収協力、農業、食糧安全が含まれる。
欧州と世界を席巻中のポピュリズムの波により、社会の公正・平等など発展に関する議題が特に注目されている。グローバル化がすべての国と人々にいかに公平に利益を与えるかは、現在のグローバルガバナンスが直面している最大の難題だろう。政策が現実の声と向き合えば、G20をより総合的な政策枠組み内で、グローバルガバナンスにおける発展の不均衡という切実な問題に効果的に対応させることができる。
広範な社会的議題のうち、最も注目されているのは人工知能(AI)だ。他にも移民・難民問題がある。世界には現在、移民問題や難民を始めとする受動的な移民問題に対応する、効果的なメカニズムが存在しない。これまで環境・気候などの原因により数十年に渡り移民が続いていたが、アフリカから欧州大陸への移民などは地域的な問題とされ続けてきた。
今回のシリア難民問題は、世界的な移民管理の苦境を浮き彫りにした。難民をめぐり、▽集団的な対応メカニズム、すなわち能力の建設▽資金援助や救助活動など、国連の難民支援における細かい問題の減少▽移住ではなく難民を生活すべき場所に留まらせるための資金援助の拡大▽受入国の教育、異なる教育制度の融合――という4つの際立った問題がある。そのため、発展が根本的な問題となっている。
発展はすべての問題を解決できないが、発展がなければすべての問題は解決の物的基礎を失う。2016年のG20杭州サミットは発展の議題を主流にし、先々までの見通しを示した。発展パートナーシップの強化、世界的な発展の管理が、グローバルガバナンスの軸をなす。G20ハンブルク・サミットの予想される成果には「アフリカ契約」があり、杭州サミットのアフリカの工業化促進の努力を引き継ぐ。
G20に余りにも多くのことを期待できないが、G20がなければ世界がもっとまずくなることは間違いない。
(筆者:上海国際問題研究院世界経済研究所所長)
チャイナネットより2017年7月5日
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