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日本の言行不一致の新たな例証

 

日本政府は最近の閣議で2017年版防衛白書を了承した。防衛白書は防衛省が毎年刊行するもので、日本政府の安全保障環境に対する基本的判断及び全体的防衛政策を反映する。案の定、新版白書でも「中国脅威論」が重要なスパイスとなった。(文:蘇暁暉・中国国際問題研究院国際戦略研究所副所長。人民日報海外版コラム「望海楼」掲載)

日本が「中国の脅威」を意図的に誇張するのは、これが初めてではない。2015年に与党自民党は「中国に関する記述が不十分」として、防衛省起草の白書の了承を拒否した。防衛省が東中国海・南中国海問題についてわざわざ加筆して、ようやく閣議で了承された。それから毎年、日本は白書の記述に尾ひれをつけることを忘れず、今年はなおさらに、いわゆる「中国の脅威」のレベルを引き上げた。

防衛白書了承の前日、フィリピンでASEAN関連外相会議に出席していた中国の王毅外交部長(外相)は、日本の河野太郎新外相と会談した。王外交部長は河野外相に対して「日本側が言行を一致させ、中日関係の改善という前向きな姿勢表明を具体的な政策及び行動に反映させることを希望する。いつも面と向かっては関係改善を希望しておきながら、身を翻すといたるところで中国に面倒をかけるのであってはならない」と意味深長に戒告した。その直後、防衛白書が日本の言行不一致の例証となった。口先では日中関係接近を望みながら、白書の発表では悪意をもって「中国の脅威」を誇張したのである。

実際には、中日関係を軽視する勇気は日本にはない。中日関係は、以前日本の歴史問題に対する姿勢及び領土紛争の扱い方のために深刻な波瀾が生じた。両国関係が損なわれるのを見て、日本側は繰り返し姿勢を表明し、ハイレベルの関係回復を図り、さらにはASEAN関連外相会議期間に「廊下外交」を行った。河野外相も王外交部長と会った際、対中重視を強調し、双方が日中国交正常化45周年という重要な節目にあたり、交流を強化し、対話を再開し、理解を強化し、関係を改善し続けることへの期待を表明。そのために真摯に努力したいとも表明した。

表面上の口ぶりは良いが、本心はどうなのか?

第1に、日本には対中関係のレベルにおいて、解くことのできないわだかまりがある。日本は中華民族の偉大な復興が押しとどめられない趨勢であることをよく分かっているが、各分野で中国との落差が次第に開いていくのを、手をこまねいて見ていることにも甘んじない。こうした中、機会を借りてもめ事を引き起こし、中国の発展を妨害することが、日本にとって重要な選択となった。日本にとってもう1つの重要な選択が、米国の地域戦略と積極的に歩調を合わせることだ。日本は「中国の脅威」を口実に、地域における米国の軍事的プレゼンスの強化に協調している。ASEANの場を含め、日本は常に米国の後につき、波風を立て、南中国海情勢をかき回すことを好む。日本からすると、同盟関係における自らの重みを増すことにもなるらしい。日米が互いに呼応して損なうのは、中国と地域の利益だ。

第2に、自民党政権には放棄できない私利がある。安倍首相就任以来、集団的自衛権の行使容認、新安保法などの問題で大いに躍進し、「中国の脅威」が拡張的安保政策の極めて良い隠れ蓑となり、平和憲法改正の企てを確実にするものとなった。また、最近安倍首相がスキャンダルにはまり、支持率が下落していることから、外国の脅威の誇張により、国内の視線をそらして支持率を回復することもできる。

こうした要因の影響から、日本が中国を真に協力パートナーとするのは難しいだろう。河野太郎外相は父の河野洋平氏がかつて中日友好の推進に重要な貢献をしたとはいえ、自民党の影響と拘束から脱するのは恐らく困難だ。これは日本の対中政策に繰り返し生じる問題でもある。

命運は選択に在り。日本は大勢をはっきりと認識しなければならない。日本は言行を一致させるべきだ。(編集NA)

 

「人民網日本語版」2017年8月11日

 

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