トランプ米大統領は14日、技術移転や知的財産権などを含むいわゆる「中国の貿易行為」について、米通商代表部のライトハイザー代表に調査開始を指示する大統領覚書に署名した。この動きは、米国が中米経済・貿易関係を損ねる措置を一方的に講じる懸念を引き起こした。
トランプ氏の計算とは?
中米は先月、トランプ大統領就任後初となる包括的経済対話を開いた。双方の貿易代表は「100日計画」と「1年計画」を通じ幸先の良いスタートを切った。トランプ政権はなぜこのタイミングで通商法301条に基づく調査を発表し、中米経済・貿易関係に冷水を浴びせたのだろうか。
中国現代国際関係研究院世界経済研究所の陳鳳英所長は「これにより対中貿易赤字のバランスを取ることが、トランプ大統領の最大の狙いだ。トランプ政権の最大の目標はバランスの取れた貿易で、米国製品を購入し、米国人を雇用することが主軸となる。その貿易代表団も脱グローバル化のチームで、伝統的な貿易の理念を持っている。つまり他国の対米貿易黒字を標的とし、各種保護措置を打ち出し逆転させるということだ。これは貿易であっても財政であっても、国内マクロ政策であってもそうだ」と述べた。
しかしトランプ大統領は計算ミスを犯した。米国の政界とビジネス界の多くの識者は、政府が世界貿易ルールを顧みず、一方的な行動により貿易パートナーとの紛争を解決しようとしても、問題解決を促さないばかりか、自国の消費者と貿易会社などの利益を損ねる可能性があると指摘した。
中米の貿易戦争、一触即発か?
陳氏は「この調査が行われる可能性を否定できないが、これは最後の選択肢ではない。トランプ大統領の態度には余地が残されている。覚書の強制性は、大統領令を大きく下回るからだ」と述べた。
清華大学中米関係研究センター高級研究員の周世倹氏も「同調査は貿易戦争には程遠い。トランプ大統領の覚書署名は、米国が直ちに中国に貿易制裁を課すことを意味せず、今後さらに3つの段階を踏まえる必要がある」と指摘した。
第1段階は、調査の開始だ。国内企業からの訴えを受け、政府が調査と証拠収集を担当する。第2段階は、中国側との交渉と協議だ。これには貿易の補償、もしくは貿易障壁の撤去に関する協議が含まれる。第3段階は、協議の結果に基づく最終的な措置の決定だ。交渉決裂となれば、米国は通商法301条に基づき中国を攻撃することになる。中国製品の輸入規制や、関税追加などだ。こうなれば初めて、貿易戦争の幕開けとなる。ただし交渉成立となれば、このような一幕は演じられない。
中米の経済・貿易関係は相互依存性が高い。貿易戦争が始まれば、共倒れの局面になり、両国関係も必然的に冷え込むことになる。貿易戦争に前途はない。勝者がなく、双方が負けるだけだ。対話により相互の関心事を解消することで、中米経済・貿易関係の健全で安定的な発展を維持することができる。
チャイナネットより2017年8月16日 |