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李稲葵:消費分野で起きている「静かな革命」

清華大学中国と世界経済研究センターの李稲葵主任はこのほど、新華社「瞭望周刊」が主催した『新たな小売、新たな傾向、新たな空間——供給側改革の視点で見るモデル革新』というテーマのシンポジウムで、『中国経済は新消費時代に入る』と題する基調講演を行なった。李稲葵主任は、過去10年で中国の経済構造に生じた劇的な変化が、今後30年間の所得分布の構造に影響を与え、消費革命ももたらすだろうと指摘した。

以下は同主任の講演の一部内容である。

 

過去10年、中国の経済構造には劇的な変化が生じた

2007年から現在までの10年間に中国の経済には構造上の劇的な変化が生じた。私はこれを「静かな革命」と呼んでいる。

10年前、中国は相対的に言って十分な労働力があるものの、資本が不足している経済体だった。2007年は転換点であり、GDPに占める消費の割合は過去30年で最低となったが、2007年以降この割合が上昇し始めた。2008年、2009年のほぼ同時期に、GDPに占める労働収入の割合が上昇し始め、第一次所得分配に占める賃金収入の割合も上昇した。

同時に、2007年から農村部の人口が都市部に流入するペースが緩やかになった。2015年までに都市部の労働力はピークに達した。この時点で、賃金が上昇し、庶民の第一次所得分配が改善され始め、労働力によって収入を得る人々の収入のペースも加速した。これは革命的な変化だった。

過去30年、中国の農村部から都市部に出稼ぎに来る人々の数は顕著に増加し、この変化がもたらした結果は消費レベルの向上だ。賃金上昇のペースが速ければ、消費レベルも速やかに上昇する。賃金上昇のペースがGDP成長率を超える場合、消費レベルの上昇もGDP成長率を超えることになる。このため、この世界的な革命はまさに、今後30年の所得分布の構造に影響を与えている。

 

消費は中国経済成長の新たなハイライトとなっている

消費そのものも革命のために下準備をしている。消費の増加ペースは非常に速く、インターネット、データ技術、人工知能を代表とする様々な新しいテクノロジー形態ともちょうど重なった。新しいテクノロジーと消費の成長は共に、消費革命、特に小売店の革命をもたらしている。

消費チェーン全体がテクノロジーの革命を経験しており、この過程は卸売、物流、小売、アフターサービスが共に新しくなることが必要だ。この消費革命は、小売業のコスト低下に表れるだけでなく、消費者の信頼感の向上、消費満足感の上昇をもたらしたことにより多く表れている。

無人商店は、有人商店よりさらに良いサービスや便利を消費者に提供するだろう。例えば、24時間営業を真の意味で実現し、多元的したサービスを提供することで、消費者により多くの満足感を感じさせる。

次に、新たな小売革命と伝統的な小売は、外部の人々が考えるような代替、競争の関係ではないと考える。例えば、無人商店はより多くの体験を提供するが、無人商店と有人商店は共存できると信じている。新たな小売と伝統的な小売は単純な代替関係にあるのではなく、長期間に渡り、共に存在し、共に発展し、互いに補い合う形で共存するだろう。

今後20年間の消費は新たな傾向、さらに言えば革命となると確信している。この革命はテクノロジー革命と一つになって、私たちが世界にアピールし、誇ることのできる新たなハイライトとなるだろう。

(新華社より)

 

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