世界から「先進国」と賞賛されることに慣れている日本だが、今年に入って起きた2つの出来事により深い挫折感を味わっている。1つは金融サービスだが、日本のメディアが中国のモバイル決済の便利さや普及ぶりを盛んに伝え、朝市でも夜店でも携帯電話端末をさっとかざして消費することができるなどと紹介するようになったこと。もう1つは中国のシェア自転車企業・摩拝単車(モバイク)が日本に進出し、福岡と北海道の街角に中国資本が経営するシェア自転車が登場したことだ。「経済日報」が伝えた。
ビックカメラは日本の大手家電チェーン店の1つで、テレビ、冷蔵庫、洗濯機といった大物家電から、電球、電池などの小さい商品まで何でも取り扱っている。ある時、友人が人に頼まれてビックカメラ渋谷店に美容マッサージ器を買いに行った。支払い時にレジカウンターのところに「当店では微信支付(WeChatペイメント)がご利用いただけます」と中国語で書かれたプレートがあるのを見つけ、さっそく微信支付を利用することにし、免税手続きを終えてから、携帯に金額を打ち込み、スキャンし、確認するまで、1分足らずですぐに支払いは終わった。店員に微信支付の利用率を尋ねたところ、「日本のお客様は現金かクレジットカードでの支払いが多いが、海外からのお客様向けの免税カウンターでは約3分の1が微信支付で決済を行う」とのことだった。
今年初め、日本全国でコンビニエンスストア1万3千店を展開する株式会社ローソンは中国のアントフィナンシャルサービスグループと同時に、ローソンの全店舗で支付宝(アリペイ)での支払いが可能になったことを発表した。東京で行われた発表会にはアントのダグラス・フィーギン副社長も出席した。訪日中国人観光客が増加し消費範囲が拡大する様子を見て、ローソンはここにビジネス経営の新たな成長源を探り当てた。特に中国人観光客のコンビニでの土産物、食品、生活用品の購入規模が拡大し、一人あたり平均消費額も日本人の2.6倍に達したことを受けて、ローソンは支付宝との全面的提携に踏み切り、数億円を投入して電子決済システムを改善し、全国の店舗で支付宝による決済サービスを開始した。
今年の夏休み期間中、ローソンは支付宝を対象にした2つの販売促進キャンペーンを展開した。1つは「支付宝ボーナス」(支付宝奨金)で、月曜日~木曜日に日本のローソンで買い物すると一定比率のボーナスが還元され、金曜日と土曜日には貯めたボーナスを現金代わりに使用できるというもので、アリペイの奨励金機能が海外で利用された初めてのケースになった。もう1つは「支付宝クロスボーダークーポン」で、中国のローソンで買い物した時に日本のローソンで利用できる「からあげクン」各種の30円割引クーポンが配布され、日本のローソンで買い物した時に中国のローソンで利用できる飲料の2元(1元は約16.9円)割引クーポンが配布されるというもので、支付宝が中国と海外で相互に利用できるクーポン券を配布したのはこれが初めてだ。
この他にも同様のニュースが次々と伝えられている。日本の総合ディスカウントストアのドン・キホーテ渋谷本店は、7月初めに微信支付を導入した。株式会社ドン・キホーテ東日本営業本部の竹内三善部長は、「弊社のチェーンではすでに37店舗が微信支付に対応しており、うち3店舗は旗艦店だ。弊社は中国人観光客に便利な決済手段と微信のアカウントを利用した情報提供サービスを提供することで、より多くの顧客資源を獲得したいと考えている」と話す。日本の高級デパート・大丸松坂屋百貨店なども、微信支付は顧客に便利さを提供するための必須の手段だととらえている。羽田空港の免税店は微信支付の導入率が75%を超えた。
日本の店舗で微信支付への熱意が高まりをみせる中、微信支付を展開する騰訊集団(テンセント)は7月初めに東京で初の海外発表大会を開催し、「We Plan」と名付けたクロスボーダー決済スマートソリューションを発表した。海外の企業やサービス事業者の微信支付に対するハードルを低くし、技術や営業販売など多方面で支援を提供することが狙いだ。
アント国際事業戦略協力部の潘総監は、「支付宝が2015年下半期に日本市場に進出して以来、これまでに空港、大型小売店、電器店など6千店で決済が可能になり、ローソンは初めて系列の全店舗で支付宝システムの利用が可能になった日本の商業機関だ。今後はより多くの日本のビジネス決済ルートに進出していきたい」と話す。また微信支付の海外運営責任者の殷潔さんは、「中国は『キャッシュレス化』とモバイル決済で世界のトップレベルにある。微信支付は中国人観光客の足取りを追いかけて、海外の企業がビジネスサービス能力を絶えず向上させるよう手助けし、中国人によりよい海外体験を提供していきたい」と展望を語る。
近代化とは創造され、さらにその後も維持され続けなければならない。これまでに述べてきたモバイル決済の基礎は電子ソフトウェアプラットフォームで、最近は日本人も微信支付の利用を求めるようになり、微信の認知度は上がり、こうしたことがより大きな電子情報プラットフォームを構成する。微信支付はこれまでに世界の10数ヶ国・地域に進出し、海外の店舗13万店あまりで利用できるようになり、10種類以上の外貨建ての直接決済が可能になった。
記者が友人たちと食事した時、会計は割り勘で一人2300円になった。日本の大学に勤める朱さんは手持ちの日本円の現金がなかったので、記者が立て替えることにした。朱さんは微信のお年玉機能「微信紅包」を通じて記者の端末に139元を振り込み、お金のやりとりは完了した。その場にいた日本人の5人の友人たちは羨ましそうにその光景を眺め、そのうち2人は「自分もやってみたい」と実際に試していた。(撮影:蘇海河、編集KS)
「人民網日本語版」2017年9月14日
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