証券日報の報道によると、アメリカ国際貿易委員会(ITC)はこのほど、通商法第201条に基づき、輸入太陽電池セル・パネルを対象に救済措置調査を行った結果、「クロ」と判断し、これから輸入規制を検討する。
業界筋によると、この調査が中国に標的を絞ったのは明らかである(中国製太陽光製品の生産能力は世界ベースの約80%を占める)。それ以前、Suniva社の通商法第201条に基づく調査の申し込みは一時、中国太陽光発電(PV)産業の不安を買った。通商法第201条に基づく調査を、中国製太陽光製品に対するアンチダンピング・補助金調査リレーの次の手にし、中国PV産業に対する米国の抑止力を維持していくITCの企みは明らかである。
中国商務部貿易救済調査局の王賀軍局長はこれに対し、次のように指摘した。米国の調査機関は他国や米国の各州の政府、多くの川下企業の強い反対をよそに、この数年、太陽光製品に対し貿易救済措置を取り、国内の関連産業に十分な保護を提供しているという客観的事実を無視し、輸入太陽光製品が国内産業に重大な損害を与えているという判断を押し通している。それは太陽光製品の国際貿易の不確実性を増大させ、米国PV産業全体の健全で、均衡的発展に役立たない。
関連する報道によれば、4月17日、米国ジョージア州に本部を置く太陽電池セル・パネルメーカー、Suniva社は米国の裁判所に破産法適用を申請した。4月26日に、同社は「1974年通商法」の第201条に基づき、ITCに提訴し、米国の輸入結晶シリコン太陽電池セル・パネルを対象に救済措置調査を発動するよう求めた。
中国太陽光発電産業協会(CPIA)、中国循環型経済協会(CACE)、中国再生可能エネルギー学会太陽光発電専門委員会は5月24日に共同「声明」を出し、その調査とその結論の公正性、PV産業の自由貿易に負の影響を及ぼし、国際PV産業の健全な発展に損害をもたらすか否かに不安をあらわにした。
業界関係者によると、201条は米国PV産業の川下製品のコストアップにつながり、米国の新エネルギー産業、とくにPV産業の大後退を客観的に招きかねない。それはトランプ米大統領のクリーンエネルギー選挙公約にある程度で迎合し、その狙いは目に見えて製造企業の国内復帰促進にあるという。
関連統計によれば、2017年上半期の中国製太陽電池パネルの対米輸出額は前年同期比96.6%下がり、対ドイツ輸出額は96.3%下がり、対オランダ輸出額は73.7%下がった。ただ、対インド輸出額は67.3%増、対ブラジル輸出額は117.9%増、対メキシコ輸出額は284.7%増となった。それに基づく中国税関の統計では、2017年上半期の中国製太陽発電セル・パネルの対米輸出が輸出全体に占めるシェアは1%未満だった。
CPIAの王勃華秘書長によると、市場の構図をみれば、PV市場がドイツを含む欧州に集中した過去と一変し、大きな変化は出ている。アジア市場は昨年、世界一の市場になっており、新たな市場は三分の二を占め、欧州市場は9%まで縮小している。
ところが、懸念もある。欧米が中国PVメーカーを対象にアンチダンピング調査を頻繁に発動することで、多くの中国企業が次々とベトナム、タイ、インドネシアなどの東南アジアの国に工場を作り、これらの国々を通じて米国へ輸出するのは業界の不安の種である。米国が通商法第201条に基づく調査を発動すれば、それは中国勢の海外での生産展開にしわ寄せを及ぼすはずである。
新華社より
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