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華東地域大会で優勝した南京大学チームに笹川杯を授与した日本財団の尾形武寿理事長(右端) | 中国の大学生の日本語学習に対する意欲を高め、日本への理解を深めることを目的とする「笹川杯日本知識クイズ大会」が、今年も、爽やかな秋の日に開催された。
華東地域、黒竜江省、吉林省の三カ所で開催されたが、参加校がもっとも多かったのは華東地域。参加人数や規模が前回を大幅に上回っただけでなく、一般の中国人にもこの大会を知ってもらおうと、今年から大会運営の言葉を日本語から中国語に切り替えた。
白熱したクイズ大会
映画『君よ憤怒の河を渉れ』の主演男優は?
A高倉健 B中井貴一 C滝沢秀明 D亀梨和也
読者の皆さんなら、どの答えを選びますか。多くの人はAと答えることでしょう。
中国人でも、1980年代以前に生まれた人なら、迷うことなく「高倉健」を選ぶ。しかし、思ってもみなかったことに、華東地域大会に参加した大学生の中には、若者に人気の「滝沢秀明」を選んだ人がいた。
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吉林省大会の会場 | 80年代中ごろに生まれた今の大学生たちは、70年代終わりに中国全土を風靡したこの映画をよく知らないのだ。これだけでなく、日本語の常識と日本の国情の難問に、学生たちは苦しめられた。
例えば、「百姓一揆」の意味を知らない学生や、「重要文化財産」の略である「重文」を「重要な書画」と誤解した学生もいた。また、今年は「平成20年」だと答えた学生もいた。
もちろん、間違えたのはごく一部で、多くの質問は楽々と攻略した。特に、中日友好史にはよく精通していた。遣隋使や遣唐使に関する質問が出されたときには、なんなく正解を選んだだけでなく、質問の年代や人物の誤りまで自信満々に指摘。観衆たちは非常に驚いた。
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黒竜江省大会の会場 |
また、「紅白歌合戦は男性組と女性組に分かれている」という正誤クイズでは、ある大学生は「正」と答えたが、司会者は「誤」と判断。これに対して、会場からは大学生が正しいという声があがった。出題者は、「紅組と白組に分かれている」のが正解だと説明したが、会場は納得しなかった。このとき、日本財団の尾形武寿理事長が調停役を買って出て、紅白歌合戦は紅組と白組に分かれていて、女性が紅組、男性が白組であることを説明。このため、大学生の答えは正解となった。
このように、出題者と会場が互いに意見を戦わす場面が2、3回あった。これにより、緊張したムードがぐっと和らいだだけでなく、大学生たちの日本に対する正しい理解も深まった。
大会の運営者である浙江工商大学日本文化研究所の王勇所長は、「中日間に横たわる多くの問題の核心は、真実を知らないことにあります。そこで、一般の中国人も参加できるようにと、今回から中国語でクイズを出しました。この大会を通して、日本に対する正しい知識が広がってほしい」と話す。
優勝した南京大学チームの王重斌さんは、「これまで、日本に対する理解は偏っていました。しかし、今回の大会を通して、全面的かつ具体的に日本を知ることができました」と感想を述べた。
言葉が違っても知識は共通
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華東地域大会の会場 |
日本知識クイズ大会が初めて開催されたのは2004年のこと。会場は黒竜江省ハルビン市だった。サッカー・アジアカップでの騒ぎからまもなくのことである。当時の状況について日本科学協会の顧文君さんは次のように語る。「中国人が日本を憎んでいると考た多くの日本人が中国へ行きたがらなくなった。しかし、大阪のテレビ局がこの大会の様子を放送し、非常に高い視聴率を記録した。中国の大学生が日本のことをよく知っていることに、日本人はとても驚いた」
中国と日本は言葉は異なるが、両国間には密接なつながりがあり、日本に関する知識は共通である。第一回大会の成功は、寒さの中に流れ込んだ暖流のように、日本の人々に中国人の別の一面を知らせたのだろう。
クイズ大会のあと、優勝した大学生たちは日本に招かれ、日本の大学生たちと交流した。このことは日本のメディアでも報道され、たいへん評判がよかった。日本科学協会の大島美恵子会長は、「学生同士の交流は一番大事なことです。将来を担う若い人に相互理解を深めてもらうことは、もっとも大切な仕事だと思っています」と話す。
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日本文献館の開館式 |
日本科学協会は1999年から、日本財団の協賛のもと「教育・研究図書有効活用プロジェクト」を実施している。図書の寄贈を柱として人的交流を行い、2007年7月までに24の大学に計175万冊を寄贈、日本へ招いた大学図書館の担当者は67人に達した。
日本財団と日本科学協会は今回、貴州大学の創立105周年記念日にあたる9月8日、同大学の日本文献館の開館式にも出席した。同大学にはこれまでに、計16万6333冊が贈られていて、中国国内で日本語文献がもっとも豊富な大学の一つになっている。今年は、華東地域のクイズ大会にも特別参加した。
尾形理事長は、中国の学生たちはこれらの図書をよく利用し、日中友好の推進と相互理解・信頼を深めることに貢献してほしいと語った。(賈秋雅=文 孫立成=写真)
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