|
加藤嘉一 | 加藤 今年は『日中平和友好条約』締結30周年に当たるとともに、日中青少年交流年でもあります。日本と関わりを持つ中国人として、あるいは中国と関わりを持つ日本人として、それぞれの関わりを語ってほしいのですが。
笈川 中国で日本語を教える大方の日本人が1、2年で日本に帰る中、私は長く居ようと思っています。「Kodama」という日本語学習者約2000人の組織を北京で立ち上げたのですが、将来的には、上海など他の都市にもネットワークを広げていきたいと思っています。
今年で北京7年目ですが、政治関係が悪化したときは、日本語教師としてとくに苦しい思いをしました。日本語学部を辞めたいという学生が80%くらいいた時期もあったのですよ。
駒崎 大学院生のときから中国のメディアを研究していました。卒業後、指導教官の教授に誘われ、研究を続けていたのですが、やはり「現場を見ないのではだめだ」と思い、中国行きを決断しました。
中国のメディア事情を見ると、インターネットが普及する過程で若者が国内外のメディアから柔軟に情報収集する傾向が目立ちます。中国が世界に開かれていく、国際的になってきている、と感じます。
錇 私はとくにスポーツファンというわけではないのですが、スポーツは中日両国の若者に愛されており、スポーツ交流を通じて中日関係を促進したいと思います。その意味でも、8月に北京で開催されるオリンピックを積極的に盛り上げたいものです。
王 日本に興味を持つようになったのは大学2年のときです。当初は中日関係が中国にとって大切だと思う程度だったのですが、最近では、中日両国がそれぞれ歩んできた近代化の道を分析することで、日本の経験を教訓にできるのではないか、逆に中国の歩みも日本にとって参考価値があるのでは、と考えるようになり、そういう視点で研究しています。
日本留学中は地方にも行きました。日本人の暮らしや日本人の国民性に興味を持っています。日本という国のあらゆる面や状況を中国に伝えていくことも、私の役割だと思っています。
朱 日本に11年滞在しました。サッカーJリーグの放送権をアジア・世界に売る事業にかかわりましたが、当時の上司であった川渕三郎さんは、中日韓協力の構想を強調していました。アジアが互いに同じようなレベルになって切磋琢磨していくのが好ましいという認識は大切だと思います。互いに不信感を持っているままでは、東アジアはまとまらないでしょう。
現在、会社を立ち上げてから4年強になります。東アジアの象徴になるものを創りたいという信念で取り組んでいます。中日韓はアジアにありながら、ベクトルは西側を向いています。決して、同じ人生観、価値観を持っているわけではないのです。
|
3月12日の夜、重慶を訪問した日本の中学・高校生たちは、永川中学の生徒たちとキャンプファイアーを囲んだ | 中国と日本は、将来に向けて、「価値観」を融合させる時期に来ていると考えます。スポーツの分野では、政府の支持の下、さらに各種イベントを発展させたいものです。両国の著名なスポーツ選手を互いに相手国でプロモーションしたいと思います。互いのヒーローが相手国で認められることが一つのきっかけになって、相互尊重の意識が深まってゆくでしょう。
加藤 「価値観」とは、朱さんは具体的に何を指しているのでしょうか。
朱 何に笑い、何に怒るかという「価値観」です。両国民が日常的に共有できる「価値観」を、スポーツ交流やイベントを通じて育んでいきたい。
宮下 北京に来て5年が経ちました。紆余曲折はありましたが、いい時期に来られたと思っています。最近は、ストリートダンスを中国の人たちに教えたり、ダンスの情報誌やパンフレットを作成したりしています。
実は、中国のダンサーのレベルはすごく高く、日本に行っても十分通用する人たちがたくさんいるのです。その事実を日本人に伝えたい。中国のイラストレーター、デザイナーなどのアーティストたちも、ポップな自己表現をしていますが、日本人はそれを知らないのです。
すでに水面下から入ってきてはいますが、中国人デザイナー、写真家、ダンサーなどを日本に招待して、相互交流を進めるのもいいと思います。これまで300くらい日中アーティストの交流会を主催しましたが、毎回300人くらい集まります。日本と中国の間口を広げることを、草の根的にやっていきたい。
人民中国インターネット版
|