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新たな中日関係 互いの市場に進出し、世界を目指す

 

東亜に二つの経済大国

違いを克服するチャンスが出てきた。2009年9月に組閣した民主党政権は、いち早く「アジア重視」の外交方針を公表した。それは中国のマスコミには「日本が変化した」と映った。メディアの間も積極的に交流するようになり、今年11月には大連に中日の学者やジャーナリストら150人が集まり、五回目『北京・東京フォーラム』が開催された。また、成都では、四回目の中日ジャーナリスト交流会議が開催され、両国の第一線で活躍しているジャーナリストが活発な議論を行い、多数の共同認識を得た。このようなメディア交流が同時に地方で行われるのは初めてで、交流の輪の広まりを示している。

『北京・東京フォーラム』で発表された『大連宣言』では、「今後、中日両国がより実務的な姿勢で協力を全面的に強化し、連携しながら危機に立ち向かうべきことを確認する。それは時代の流れであり、また国民の望む方向でもある。かつ、両国の経済発展やグローバルな景気回復にとっても非常に重要な意味を持つ」としている。

中国人民解放軍の中青年将校の研修団が2009年8月、日本の海上自衛隊の護衛艦を参観した。中日両国の軍事交流はすでに9年目を迎えた(新華社)

こうした変化によって、中日間は「政冷経熱」状態から完全に脱却する条件ができたといえる。中日両国のGDPの規模がほぼ同じになったことによって、政治的、経済的なパラダイム・シフトは、この時から可能になったと言うことができよう。

南京師範大学の季愛琴教授は「GDPの規模から見ると、世界経済の中で日本が第二位、中国が第三位の状態はすでに何年も続いてきている。この二つの国が仲良く手を携えると、世界経済に大きなインパクトを与えることができるはずだ」と言う。中国からは「日本は先進国」という面だけを見、日本からは「中国は経済発展の途上国」という面だけを見ていては、相手国の本当の存在意義がはっきり見えなくなるのではないか、と季教授は考える。

世界経済の第三位にある中国なのに、「中国の会社名をあげてくださいと言われて、一社でも名前を挙げられる人が果たして日本にどれぐらいいるだろうか」と中国経済専攻の丸川知雄・東京大学教授は疑問を投げかける。

ここ数年、家電分野での日系企業の影響力が著しく低下している中国では、「日本企業なんか、それほどでもない」と思う中国人が出てきている。しかし日立、パナソニック、東芝などは、中国に百社前後の現地法人を持っており、中国の国民経済に深く浸透している。「この現実を中国人は何人知っているだろうか」と、冒頭に紹介した秋葉原詣での胡さんは言う。

ほぼ同等の経済規模を持つことによって、中日関係は新しい段階に進んだ。新しい目でこの新関係を認識し、行動することが大切だろう。

中国博奇社の白雲峰総裁(筆者提供)

取材を受ける百利達(上海)商貿有限公司の松井英明総経理(右)(筆者提供)

ヘルスメーターのメーカーであるタニタは中国で百利達(上海)商貿有限公司を設立したが、松井英明総経理は2007年に早くも、中国の普通の人たちがダイエットに励んでいることに注目した。体重計に脂肪測定の機能を入れ、「われわれ百利達はメタボの予防を支援している」と印刷した名刺をすべての従業員に持たせて、営業に行かせている。

「中国経済の成長率より少し高めの設定だが、目標はやはり10%ぐらいの成長」と松井総経理は明かす。今の中国は、人々が日本と同じような考えで生活しているので、日本企業も中国を、「単なる生産基地」から「生産プラス市場」としてに再定義すべき時期にきている、と言うのである。

日本の商社も中日の経済変化を敏感に感じとっている。三菱商事の木島綱雄中国総代表は「いままでは日本企業は、中国でモノをつくって、製品を中国以外のところに持っていった。これを両国経済関係の第一段階としたら、日本は非常に成功したといえる。第二段階は、中国でモノづくりすると同時に、中国でもその製品を販売する。これは進行中であり、すでに成功している企業は数多い」と分析している。

そして第三段階は「中国で高品質のモノをつくり、新しいブランドとし、たとえば日本企業の保証を得て、そのネットワークに乗せて、全世界に展開していくことだろう」と木島総代表は展望する。

一方、中国で環境ビジネスを展開している博奇社は、日本の環境技術や資金力を見て、「われわれはあえて中国では株式を上場しない。日本での上場を選ぶ」と白雲峰総裁は語っている。

中国はあらゆる経済手段を打って金融危機と戦っていると同時に、世界経済の好転に期待をかけている。日本や欧米は2009年の暮れに、徐々に回復の兆しが現れてきた。そうしたニュースは、中国の人々に自信と安心をもたらしている。

東アジアにある二つの経済大国である中国と日本がそれぞれの得意分野を生かし、互いの市場に進出し、さらに世界市場を目指す——今後の中日経済関係は、こうした新しい展開を見せることだろう。

 

 

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