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映画『非誠勿擾』が呼んだ観光ブーム われはゆく北海道へ

于 文=文 華 義=写真

2009年の初めから現在にいたるまで、北海道を訪れる中国からの観光客が急増している。2009年に北海道を訪れた中国人観光客は2008年のおよそ7倍、2010年の春節(旧正月、今年は2月14日)にも予約が殺到した。これまでに訪れた中国人観光客が買い物に費やした金額は一人当たり30万円から60万円ほどといわれ、地元の観光関係者は「千載一遇のチャンス到来」と喜んでいる。

映画のポスター 連綿と続く網走市内の田舎道

中国観光客に人気のスポットは阿寒湖の温泉街にある居酒屋、斜里町のキリスト兄弟団斜里教会など、旅行社の人気コースにはないところばかりである。1970~80年代、『君よ憤怒の河を涉れ』『キタキツネ物語』など北海道を舞台にした日本映画が中国で脚光を浴びたこともあり、北海道の中国における認知度は比較的高いといっていい。しかし、今なぜ再び北海道ブームが起こり、また、あまり知られていない場所に中国人の観光客が殺到したのだろうか。 

それもまた、映画の力であった。

北海道でロケをした『非誠勿擾』

2008年末、お正月映画として上映された『非誠勿擾』は、たちまち大ヒットとなった。「非誠勿擾」とは中国のインターネット上の結婚相手募集の広告でよく使われる言葉で、「誠実なお付き合いができる方以外はご遠慮下さい」という意味である。

米国に留学経験のある主人公・秦奮は投資が当たって大もうけし、結婚したくなって、相手探しを始める。インターネットで結婚相手募集の広告を出した彼は、理想の相手を求めて杭州、海南島、さらに日本の北海道の道東まで旅に出ることに。インターネットのお見合いでさまざまな失敗を繰り返した後に知り合った笑笑に惹かれる秦奮だったが、彼女には既婚者の恋人がいた。笑笑はその恋人への想いを吹っ切ろうと、かつて恋人と旅行した道東へ、秦奮とともに旅立つ。道東の美しい大自然に癒され、次第に秦奮の誠実さに惹かれていく笑笑であったが、どうしても恋人への想いを断ち切れずに苦しみ、オホーツク海に身を投げてしまうが・・・・・・。

居酒屋「四姉妹」のオーナーを取材している中国の報道陣  中国人観光客が殺到する斜里教会

映画は公開後、わずか19日間で興行収入が3億元(約41億円)を突破し、それまで中国の正月映画最大のヒット作であった2006年の『王妃の紋章』の2億9800万元(約40億7000万円)を抜き、歴代興行成績一位を記録した。この映画の主な舞台が東北海道の釧路、阿寒湖、網走、厚岸、斜里、美幌であり、中国に再び北海道観光ブームを巻き起こすことになったのである。

 

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