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映画『非誠勿擾』が呼んだ観光ブーム われはゆく北海道へ

 

名シーンゆかりの観光スポット

映画をきっかけに憧れた北海道への旅行を実現した蒋芳婧さん(25歳)は、「炉端 浜ッこ」という居酒屋の前で写真を撮ったのが自慢であるという。「映画のロケ地にたどり着くことができて嬉しいです。中国に帰ったら友達に見せたくて」

彼女だけでなく、映画を見た多くの人々から続々と「北海道に行きたい」という声があがった。中国人観光客の心をくすぐった、印象深いシーンをご紹介しよう。

阿寒湖の近くの土産屋に立ち寄った蒋芳婧さん(写真・賈秋雅) やっと見つけた居酒屋「四姉妹」(写真提供・釧路市経済部観光振興室)

主人公の秦奮が丼を勧められるシーン。ウニとイクラをたっぷり乗せた丼は秦奮にとって初めての食べ物だが、多くの中国人にとっても見たことのない不思議な食べ物である。生卵と混ぜると粘りが出て、一見気持ち悪そうでもあり、それでいておいしそうでもある独特の雰囲気が、「食べてみたい」という観衆の好奇心をかきたてた。  笑笑と喧嘩した秦奮が、友人と温泉街に繰り出すシーン。美しい四姉妹のポスターを見つけ、この若い美人たちがいるに違いないと信じて店に入ると、待っていたのは四人のお婆さんたちだった。ポスターの美女は彼女たちの40年前の写真だとわかり、悔しがりながらもカラオケを楽しむ秦奮たち。このシーンでは、映画館の中が笑いに包まれた。

さらに、秦奮がこれまでに犯した自分の罪を延々と懺悔した教会、ヤクザの葬式が行われていたお寺、北海道の雄大な風景に魅了され、カラオケシーンで歌われたおなじみの『昴』やクライマックスの『知床旅情』が耳の奥に残り、北海道への憧れを誘う。

蒋芳婧さんによれば、旅行を申し込むまでもひと苦労だったそうだ。出発日をいつにするか迷っているうちに満員になってしまい、新たに他のツアーを探さなければならなかった。そもそも旅行代金は約一万元(約15万円)、若い会社員にとっては大金である。それでも、実際に北海道の風景を目にしてロケ地で写真を撮り、日本ならではの料理を味わうことができ、最高の旅行になったという。「お金と時間がかかっても、北海道に行った甲斐がありました」

映画のロケ地のいま

かつて居酒屋「炉端 浜ッこ」には、常連以外の客はめったに来なかったという。しかし、現在では、映画で使われた赤い暖簾や看板のポスターが店内に飾られ、観光客が押し寄せている。映画と同じ「四姉妹」に店名を変更することも検討されている。

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斜里教会には、映画が公開されるまで中国からの観光客は皆無だったという。現在ここを訪れる中国からの観光客の多くは、映画のシーンを真似て中国語でお祈りし、写真を撮ってゆく。一年間に訪れた観光客は2400人以上にのぼる。

やはり映画のロケ地になった阿寒湖温泉の宿泊数は、2008年一年間で741人であったが、2009年は9月末までにすでに5732人にのぼり、約8倍となっている。釧路市経済部観光振興室の関係者は「世界的な不況で国内や海外からの旅行客が減少傾向にある中、増加している中国からの観光客による経済効果は大きい」という。

中国人観光客をさらに引きつけようと、釧路市と綱走市は行政及び民間でさまざまな取り組みを行っている。ロケ地マップや中国語版パンフレット、中国語メニューを作成、「たんちょう釧路空港」にはお迎えサービスもある。今後は街中の標識・案内表示等を整備し、中国人観光客が一人で散策しても迷わないような体制の実現を目指している。

『非誠勿擾』 日本上映の期待

2010年2月、この映画は北海道で『狙った恋の落とし方。』というタイトルで一般公開された。各地から上映に対する期待が寄せられ、今後、日本全国での上映が検討されている。

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「馮小剛監督の作品の魅力は軽妙なセリフのやりとりにあるときいたので、微妙なニュアンスが日本人に伝わるかが心配ではあります。でも、できるだけ多くの方にご覧いただき、北海道の雄大で美しい自然を再確認していただきたい。『この映画がなぜヒットしたのか』を考えることによって、中国の方々の思いを感じ取って欲しい」と釧路市経済部観光振興室の渡部港吾さん。

また、単なるブームでは終らせたくないという声も多い。北海道新聞の工藤哲靖編集委員は語る。「北海道と中国の交流には長い歴史があります。それは函館市に日本最古の清朝様式建築の『函館中華会館』があることなどからもわかります。今回の映画ブームに起因する北海道ブームが、長く続いてきた交流に新たな息を吹き込むことになることを願っています」

 

人民中国インターネット版

 

 

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