ハンセン病とグローバルアピール
人類の歴史上もっとも古くから知られ、そして恐れられてきた病気の1つであるハンセン病は、おもに皮膚と神経を侵す慢性の感染症で、多剤併用療法(Multidrug Therapy; MDT)で完治することができる。MDTは1980年代から広く利用され、現在まですでに1600万人のハンセン病患者が治癒している。
しかし、世界中の多くのハンセン病患者・回復者そしてその家族までもが、今も強く残る差別により社会から疎外され、教育、就業、婚姻、その他の社会参加の機会が大きく制限されている。
グローバルアピールは、こうした差別は人間としての尊厳を侵す不当な人権侵害であることを広く社会に対して訴えるもので、笹川会長の主導により2006年から毎年発表されている。2006年、笹川会長はインドのニューデリーで第1回「ハンセン病と回復者への差別と偏見をなくす」グローバルアピールを発表し、それ以来、「グローバルアピール」イベントは毎年1月の最後の日曜日(世界ハンセン病日)あるいはその前後の日に行われるようになっている。
日本財団およびその他ハンセン病事業に力を入れる機構は、長年にわたり努力しアピールし続けてきた。そして、国連人権理事会(UNHRC)は2008年に日本が提案したハンセン病患者に対する差別撤廃を求めた決議案を全会一致で採択した。
中国ハンセン病予防・治療事業に対する日本財団の支援
中国疾病対策予防センターの報告によると、2009年度、中国のハンセン病新発病例は1597例、発見率は0.120/10万だという。中国ハンセン病は雲南省、貴州省と四川省を中心に分布している。
世界でハンセン病をなくす運動の支援プロジェクトとして、日本財団は1983年から無償でハンセン病治療用の薬を提供し続けている。また無償で野外活動用車両、モーターバイクおよびその他のトレーニング用器材などを中国に提供している。1985年、中国衛生部は初めて国際社会と調和して「第1回中国国際ハンセン病学術会議」を開催し、日本財団はこの会議を援助した。その後1990年代に入ってから、日本財団が創設した笹川記念保健協力財団はハンセン病回復者の経済的自立と社会復帰を援助し、回復者の子女に奨学金を提供するなど、1982年から2009年までの間に、合計6億7200万円以上の無償援助を提供している。
人民中国インターネット版 2011年1月26日
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